インドネシアでも90年の中頃に太陽光発電の開発調査がありました。
前回紹介したキリバスのプロジェクトはJICAが自ら仕立てたものですが、これは日本の太陽光発電システムの会社が仕掛けたものだったようです- – – これは私の想像です。
国際協力のプロジェクトは相手国のニーズに従ってなされるべきものですが、途上国側でニーズを纏めきる能力が不足していることが多く、大抵、先進国が介在して仕組まれてきます。このために、どうしてもプロジェクトはその介在者の属する組織の都合の良い方に引きずられることになります。
インドネシアのプロジェクトは地方電化のモデルとして、太陽光とディーゼルのハイブリッドシステムを入れるものでした。当時のバカ高い太陽光発電を用いて、しかもハイブリッドという複雑なシステムにするというのは、途上国で使うシステムとしては不適です。はっきり言ってディーゼルシステムを入れるだけで十分です。やはり、太陽光を入れるという(自社の製品を売る)という目的があったのでしょう。
ハイブリッドシステム
もちろん、相手国側はタダでものがもらえるので大歓迎です。
しかしタダでもらった物に対しては執着が少なく、面倒なことがあれば途端に使わなくなってしまいます。これは途上国プロジェクト(特に無償供与のもの)でよく見られる問題です。
インドネシアのシステムもどうもうまく動かなかったようです。但し、これについて、私は直接には確認していませんので想像だけの話です。プロジェクトに関係した人から、どうだったか話を聞こうとしたのですが、皆、口を濁して内容を語ろうとしませんでした。そこからうまく行かなかったのではと想像しているだけです。
太陽光・ディーゼルのハイブリッドなど現地の人が使いこなすのは大きな負担になります。トラブルがあったら無理をせずにそのままにしておいても仕方がないでしょう。
後に私も太陽光プロジェクトに携わるようになって、このような持続性の問題に直面しました。
わかりやすい教材を作ったりしていろいろ工夫しましたが、難しいものを使わせるというのは大変でした。
このようなプロジェクトを作ってしまうと、後の人が非常に困ります。しかし、途上国プロジェクトでニーズを纏めるのはなかなか難しいものがあります(相手国は何でも欲しい欲しいといってくるため)。
プロジェクト実施前にプロジェクトが形成された背景などを十分に吟味して内容を見直すことが必要ですが、これにはかなりの力量が必要とされます。今になってそう思います。単純にプロジェクト形成が悪かったからと言って、簡単には批判できないでしょう。
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