太陽光発電の評価をする時は日射強度/日射量を使うのが便利であることを説明してきました。日射量は日射強度を時間で積算したものであり、日射強度からはその時の太陽電池の出力、日射量からは一定時間内の発電量が推定できます。
太陽電池の定格は日射強度1kW/m2の時の出力を表していて、日本では平均的な日射量は3.5kWh/m2、つまり太陽電池が定格で3.5時間発電できるぐらいのエネルギーになります。
1日は24時間ですが、平均的な日射量では太陽電池は3.5時間分の発電しかできません。従って設備利用率は、
3.5時間 ÷ 24時間 = 0.146
つまり14.6%となります。
これは1日での話ですが、1年で考えると
3.5時間 × 365 = 1277.5 時間
となります。これは私がよく使う「パネル1kWあたりの1年間の発電量」が1277.5kWhになることに相当します。
同様に1日の日射量が3.5kWh/m2であることは、私がよく使う「パネル1kWあたりの1日発電量」が3.5kWhになることに相当します。
太陽電池屋さんはこの「パネル1kWあたりの1日発電量」をよく使う傾向にあり、太陽光発電を評価する時はいつも3.5という値がベース指標として頭にあります。しかしベースは上記の0.146でも1277でも別にかまいません。
「設備稼働率」はFITの買い取り価格を決める際に使われたので、急に脚光を浴びるようになったと思います。初めFITの買い取り価格を決める時は確か設備稼働率を控えめの11%にしていたのではないかと思います(12%だったかもしれない)。太陽光発電システムはいろいろなロスの影響で理論的な出力から2-3割落ちると考えられていたからです。しかし、もともと3.5という日射量は水平面に対しての値で、太陽電池のように傾斜面に対する日射量は3.5より大きくなります。また、いろいろなロスも想定していたよりは小さかったようです。従って設備利用率は思ったほど下がらず、当初のFIT買い取り価格に使った値はかなり控えめに見た数値だったようです。
今、私はネットを使ってあちこちの太陽光発電所の稼働データを集めていますが、それらを解析するのにはまずこの3.5という値をベースに考えようと思っています。
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