パワコンとはDCをACに変えるもので昔は単純にインバーターと言っていました。しかし、太陽光発電で用いられるパワコンの機能は単にACをDCに変えるだけではありません。最も重要な機能の一つに単独運転防止機能というのがあります。
単独運転防止と言うのは、系統(電力会社の電線のこと)が停電した時にパワコンからの出力も止める機能で、これが無いと電力会社が系統の停電の修理をする時に感電事故が起きかねません。危険防止のため系統連系用のパワコンに必須の機能です。
単独運転を防止するためには、系統の電圧が落ちたのを検出しパワコンの出力を落とせば良いので簡単そうに見えますが、電力会社は「これだけではパワコンの出力を止められない可能性がある」と主張し、安全のためにもっと強力な停止機構を持たせるように要求していました。
ここで、少し当時(1990年代)の背景を説明しておきますと・・・、
昔は太陽光発電を系統につなぐためには、通常の発電所設置と同様に個別の手続きが必要で、様々な書類を作って電力会社にお伺いを立てなければなりませんでした(今もそういうところはありますが、昔はもっと酷かった)。
これでは太陽光発電の普及はとても望めません。何とか太陽光発電を系統につなぐための手続きとなる「系統連系要件」を定型化し簡単にする必要がありました。このため太陽光発電普及側は電力会社と盛んに交渉していました。いわゆる系統連系要件の策定のための協議です。単独運転防止のための系統停止検出機能は、重要な「系統連系要件」の一つだった訳です。
さて・・・、
この系統停止検出を、電圧低下の検出だけで行うのが「十分だ」「十分でない」というのはかなりの議論になっていましたが、電力会社側は「電圧低下検出だけではパワコンの出力を止められないことがある」と言うことを実験で実証してきました。それが題で示した「六甲アイランドでの単独運転の模擬」です。
当時はあまり何も感じずに、そんなものかという思いで報告を聞いていましたが、良く考えるとあまりにタイミングよく結果が出てきているようにも感じます。
電力会社のやることは何かと意地悪で昔から嫌いだったのですが、その辺りの話は次回もう少し触れたいと思います。
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