何日か前にアフリカでのミニグリッドの記事を見かけました(ケニアで太陽光ベースのマイクログリッド、100%電化を後押し)。記事ではマイクログリッドという言葉を使っていますが、マイクログリッドという言葉は他の意味にも使われていますので、ここではミニグリッドということにします。
途上国の未電化地域を太陽光発電で電化するというのはとても聞こえが良く、これまで多くのプロジェクトが行われてきました。20年以上の歴史があり、その蓄積で少しずつ取り組みが変わってきているものと思います。しかし、そういう背景を知らないと、この記事を見ても、単に太陽光発電で電化されて良かったなというだけに終わってしまい、ちょっと物足りないので、もう少し内容を検討してみたいと思います。
まず過去の経験からわかってきたことは次のようなものです。
- ミニグリッドの問題は技術ではなく経済性
- ミニグリッドではバッテリー交換の費用負担が大きい
- ミニグリッドの電気料金は普通の電気料金に合わせて低く設定される
- たいていのミニグリッドはバッテリー交換できずに破たんする
これらの問題はいまだに解決されていないと言って良いでしょう。
さて、記事で紹介されたプロジェクトを見てみます。
このプロジェクトではPowerhiveという会社がケニアのKisiiとNyamiraでミニグリッドを2年余り運営し、地元に移管したというような書き方です(移管先はPowerhiveのアフリカの子会社のようです)。ミニグリッドにはふつう鉛バッテリーが使われ、その寿命は3年ぐらいと言われています。このプロジェクトで設備を設置してからの期間が2年余りということは、まだバッテリー交換されていないと思われます。この状況で移管されたら、ケニア側はすぐにバッテリー交換時期を迎えて困ることになるでしょう。
プロジェクトが行われたKisii、Nyamiraはケニアの西部でビクトリア湖に近いところにあります。この地域は観光でかなり開けていて、電化も進んでいる地方です。それでも送配電線の隙間で未電化のところは残されているので、プロジェクトはそういうところを選んで行われたのでしょう。
ケニアは猛スピードで電化を進めています。私も2-3年前にいましたが、西部で電化プロジェクトのサイトはなかなか見つけられませんでした。この記事のプロジェクトサイトも未電化とは言っても配電線はそんなに離れていないと思います。バッテリーがダメになったら、高い費用を負担して交換するより、配電線につなぐ方が経済的でしょう。
こう書いてしまうと、何のためのプロジェクトだったのか、と言いたくなるでしょう。しかし私は、これはこれで意味あるプロジェクトだったと見ています。
次回、その点についての考えを説明したいと思います。
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