選択と集中

「選択と集中」という言葉はODA大綱で政府が用いた言葉です。今回報告されたODA大綱ではODA方針を従来の「貧困削減やインフラ整備」を中心としたものから、国益をもっと重視したものに変えていくことが示されました( http://t.asahi.com/h894 )。これは私がこれまでブログの「途上国の太陽光発電支援」のテーマで指摘したことと共通したところがあるなぁという気がしています。

 

ただ政府の「国益重視」の狙いは、(人道的援助であれば)軍事面の協力も行えるようにして相手国との協力関係を強化する点にあるようですが、私が国際協力業務を通じて感じてきたことは、太陽光発電の国際協力は日本の産業支援重視にした方が良いということで、やや異なっている気もします。

 

これまでの太陽光発電の国際協力は「貧困削減やインフラ整備」という目的のもとに主に未電化地域の電化手段に太陽光発電を提供するというものでした。しかし未電化地域で太陽光発電を維持するのは簡単なことではなく(バッテリーの維持が困難なため)、ほとんどの太陽光発電プロジェクトは失敗に終わっていました。

 

それでも、援助対象の途上国の人たちは「日本のプロジェクトは良かった、役に立った」と褒めてくれます。プロジェクトの結果はともかく、日本に良い顔をしておけばまた次の援助がもらえるという期待があるためです。

 

プロジェクトを計画する側は、相手国のこのような心理を理解して、何を行うべきかを考えていかなければ、良いプロジェクトは作れません。

 

一方、プロジェクトを作る側の人たちは日本のオフィスで計画策定に追われ、あまり現場のそういう心理を理解する機会がほとんどありません。その結果、きれいごとの「貧困削減」「人道援助」の発想に陥りがちで、見栄えだけの良いプロジェクトが形成されてしまいます。そんなプロジェクトでも、表面的には「成果があった」という結果になります。

 

実際には何の役にも立っていなくても「成果があった」という矛盾したプロジェクトをずっと見ていると、やはりこれで良いのかなぁという気も起こります。

 

まぁ、このようなことも口で言うのは簡単ですが、途上国のニーズを知りプロジェクトを形成するのは本当に難しいことで、なかなか、理念だけではできません。それなら、いっそ途上国に進出したいという民間会社を支援すれば、少なくとも彼らは途上国で何が売れるか真剣に考えるでしょうから、もう少し相手国に合ったことを考えてもらえそうな気がします。

 

このようなプロジェクトだと日本の会社支援となってしまうので、これまではなかなか計画し難かった面があります。しかし国益重視に方針が変われば、もう少しやり安くなるのではないかと思います。こういう意味から私は今回の「国益重視」を歓迎したいと思っています。

 

もっとも、日本の太陽光発電関係の会社はほとんど途上国進出に興味を持っていないので、こんなことを考えていても、あまり意味はないかもしれませんが。

 

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