前回、CIS太陽電池の低照度特性が良いという評判は疑わしいと指摘しましたところ、低照度特性は良いというコメントを頂きました。理由としては、CISは長波長特性が良いので曇りの時の発電は有利になることと、ご指摘者のCIS太陽電池は低照度で良い特性を示しているということでした。
まず一つ目の理由をもう少し説明します。
以前指摘しましたがCISの波長感度は1.3umぐらいまであり、Si太陽電池が1.1umぐらいまでなので、1.1 – 1.3umの波長に対しては余分に発電することになります。曇りの日は太陽光の内、短波長が散乱され長波長成分が相対的に多くなるので、曇りの日の発電はSiより良くなることが予想されます。
このことを私は考えていなかったので、ご指摘は正しいと思います。
次に、実際のCIS太陽電池の実績からの話ですが、
ご指摘者は大変細かく発電状況をレポートされている(http://nekosoftsolar.blogspot.jp/)ので、そこからもう少し勉強させてもらってから、説明したいと思っています。申し訳ありませんが、時間を下さい。
取りあえず、私が「CIS太陽電池の低照度特性が良いというのはおかしい」と思った根拠を先に説明させて下さい。
私の自宅屋根太陽光発電はCISです。CISはコストパーフォーマンスが良いことから選びました。その後、CISは低照度特性や温度特性が良いという話を聞きました。それで期待していましたが、どうも発電状況を見てみるとそのような様子は見えませんでした。
私の屋根太陽光発電は、同じ市内にある所沢市のメガソーラーと比較しながら運転状況を監視しています。このメガソーラーはシャープ製のSi太陽電池です。
そこで、メガソーラーと私の屋根太陽光発電の発電量の比を、1日の1kWあたりの発電量でプロットして、相対的な傾向が見られないかチェックしてみました。いつのデータで行ったか良く覚えていませんので、ここでは曇りの多かった今月のデータを使ってプロットしてみました。下の図がそうです。
CISが低照度の時に発電特性がSiより良いとすると、図の左側の方は曇りの日なので、CISの方が発電量が多くなり、比が小さくなるはずです。すなわち、左下がりの相関特性を示すと見られますが、実際にはむしろ肥大上がりにさえ見える特性を示しています。この図を見る限り、低照度で発電特性が良くなるということは言えません。
昨年のいつだったか忘れましたが、これが判った時はがっかりしました。その時、私自身は期待して分析したのですが、期待を裏切られたわけです。
細かく見ると低照度で発電特性が良くなるかもしれませんが、騒ぐほどのものではないと思います。
温度特性についても同じようなことが言えるので次回説明したいと思います。
コメントを残す