日本はこれまで温室効果ガス削減に積極的でないと非難されていました。他の国が50%ほどの削減を目標にしているのに対し、日本はたった26%でしたからね。それが先日の気候変動に関する首脳会議で菅首相が「2030年度に13年度比で温暖化ガスを46%削減する」と宣言し(太陽光拡大で帳尻 経産省、46%減目標へ苦肉の積み上げ)、一気に諸外国と足並みを揃えるところまで来ました。国際会議の場での公式発言ですから、着実な実行が求められます。
46%といいうのは思いつきの数値ではなく、下図のような根拠があるようです。
図を見てお判りのように、太陽光にはかなりの期待がかかっています。これで7%もCO2削減を狙うようです。
では、太陽光をどれぐらい導入したら7%もの削減が可能なのか、少し考えてみました。
日本の太陽光の導入量については太陽光発電協会(JPEA)の値が参考になります。まず2020年度での太陽光発電は60GWほど設置されています。これに対しJPEAは2030年に100GW(野心値では125GW)まで太陽光を増やす目標を出しています(2050年カーボンニュートラル実現に向けて太陽光発電の2030年稼働目標とチャレンジ)。2030年には2020年の1.6倍ほどの太陽光導入が目標のようです。
100GWというと1億kWになります。太陽光発電1kWは年間に約1200kWhの発電をしますから、1億kWの太陽光発電は1200億kWhの発電を行えることになります。
46%削減の比較ベースとなる2013年には太陽光は10GWぐらいしか導入されていませんでした。従って2030年目標の100GWを達成すると、その9割の90GW、発電量にして1080億kWhほどが2013年比でCO2削減に貢献できることになります(太陽光発電が全て火力発電の代替になったとしてですが)。
一方、火力発電で1kWh発電するためには、下図のように0.7-0.9gのCO2が排出されるようです。
仮に、0.7-0.9gの中間をとって、火力発電1kWhからCO2が0.8g排出されるとすると、1080億kWhからは
1080億kWh×0.8=864億g≒0.9億トン
のCO2が排出されていたわけです。これが太陽光90GW導入で代替されることにより削減されることになります。
2013年の日本のCO2排出量は上の図から見ると約14億トンだったそうです。このうち0.9億トンが太陽光発電で削減されるとすると
0.9÷14=0.064・・・
大体7%ほど削減されることになります。
なんだ・・・、JPEAの太陽光導入目標(2030年までに100GW)が達成されると、CO2の7%近くが削減されるわけか。ちょっと意外でしたね。JPEA目標値なんて理想論だと思って、いままであまり気にしていませんでしたが、これは重要な値になってきました。
ここは本気になって2030年100GWを達成していかなければなりません。太陽光を現状の1.6倍にすることになります。もう「FITが無くなった」、「太陽光を設置する場所が無くなってきた」なんて言ってられません。また新しい誘導策が出てくるのでしょうか? とにかく、住宅の屋根にもどんどん設置し、農業シェアリングももっと進め設置場所を確保していかなければなりません。またまた太陽光ブームが来るかもしれませんよ。
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