2019年以降、高値買取りが終了した住宅用太陽光発電は蓄電池を導入して自家消費に移ると言われています。この場合、太陽光発電は元をとってタダになっているという考え方が普通で(本当に元を取っているかどうかは検証が必要だと思いますが)、蓄電池の購入コストが回収できるかどうかだけで経済性を判断することになります。その試算例が経産省から報告されました(蓄電池の損益分岐点「ストレージパリティ」、FIT切れのPV設置ケースで2020年に達成予定)。
ストレージパリティと言う言葉が新鮮ですね。これは蓄電池からの電気のコストが電力会社から購入する電気代に等しくなるということでしょう。
で、試算は下図のように電気料金が通常の従量料金の時と季時別料金の時で行っています。普通の住宅では5kWhぐらいの蓄電池が最適と考え、従量料金の試算結果では蓄電池価格が6万円/kWh以下の時には蓄電池を導入した方が有利となっています。そうすると5kWhで30万円以下の蓄電池であれば良いということですね。(季時別料金は計算が複雑になるでしょうから省略しますが、4万円/kWh以下であれば良いそうです。)
従量料金での計算、もう少し分析してみましょう。
ややこしいのは蓄電池の充放電がどれぐらい行われるのか推定が難しい点ですね。経産省の試算ですから、根拠のある推定を行っているのでしょうけれど、記事ではそこまで書いていないので判りません。仕方がないので、いくつか試算してみた結果、平均して一日に4kWhの充放電が行われ、平均して一年で300サイクル充放電して、10年間使えたとしたら、ストレージパリティになりそうです。次のような計算になります。
30万円 ÷ (4kWh × 300日 × 10年) = 25円/kWh
記事では21円/kWhでストレージパリティとなっていますが、まぁ、近い値なので良いとしましょう(笑)。
上の計算を見ると、一年で300サイクル充放電するという仮定が少し厳しい気がしますね。実際には年間で200サイクルぐらいではないでしょうか。もう少しあるかな。そうすると蓄電池コストももう少し安い20万円でないと経済性は出ないですね。まぁ、この辺の判断は難しいですが、6万円/kWhよりもう少し安い方が安心ですね。
6万円/kWhというのは実現可能なのでしょうか。これは車に使われる鉛蓄電池だと十分に達成されている価格ですが、鉛蓄電池だと信頼性が持たないので、ここではリチウムイオン蓄電池を想定しているのでしょう。記事では2020年にストレージパリティになるとしていますから、その頃には6万円/kWhでリチウムイオン蓄電池が購入できるということなのでしょう。2019年より少し遅れますが、記事ではほぼ2019年に間に合うとなっていました。
本当はもっと遅れそうだけれど、無理やり間に合うと言っているような・・・。
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