NEDOが太陽光発電の新しい委託研究テーマを発表しました(2020年に発電コスト14円、NEDOが太陽光の研究テーマ公表)。新しいテーマは2分野に分かれ、一つは太陽電池のコストダウン、もう一つは太陽光発電のシステム効率向上に関わるものです。
この内、太陽電池のコストダウンについては下表のようなテーマが選ばれています。
産総研のテーマはPERCっぽい響きですが、他はHIT型太陽電池に関するものですね。HITはサンヨーの、いやパナソニックの、つまり日本の技術なので、これがどんどん進んでくれたら嬉しいですね。ただ、テーマを見ただけではどこに新規性があるのか良く判りませんけれど・・・。
研究と言うのはそんなに簡単には成果の得られるものではなく、それでもひたすらに続けていると何かの拍子に成果が得られたりします。そういう意味で、テーマにあまり新規性が感じられなくても、ひたすら研究を続けてもらえたら価値あることだと思っています。
ただ、NEDOの委託研究と言うのは税金を使っていますので、「どこに新規性があるのか」など説明責任が求められます。この説明のために各社、いろいろ知恵を絞る訳ですが、例えばパナソニックの場合は、スーパーヘテロジャンクションと言う名前で、下図のような構造を提案しています。
バイフェイシャルもバックコンタクトも特に新しい技術ではありませんが、これとHIT技術をうまく組み合わせるのはノウハウが要りそうで、そこをうまく説明してNEDOの委託金をゲットしたのでしょう。北陸先端科技大のCat-CVD技術やカネカの小規模量産技術も同じようなものでしょうね。
委託期間は2年間。2年間で成果を出すなんて研究分野では殆んど不可能ですが、多分、上記の各社は、内輪では上記のテーマで既に成果を上げているだろうと思います。そこにNEDOの委託金をゲットして研究設備を一新し、更に諸経費も賄って、それで既に得た成果を確認、更には改善して2年後に報告する、というのが実情でしょう。
恐らく税金を使った委託研究はどことも同じような状況だと思います。まぁ、仕方のないことですかね。
私は新技術開発を継続的に行うことには賛成ですが、今回発表されている研究テーマはあまり新技術っぽくないですね。
また、コストダウンが目標になっていますが、既に海外では大幅にコストダウンできているので、技術開発の目標にはなりにくいと思います。
NEDOは技術開発機構なので、技術開発のテーマを探す使命があるわけですが、ネタ切れのような印象があります。
国内企業がほぼ全て海外生産をしている中、
新技術を開発してどうしようというのか理解に苦しみます。
サンシャイン計画から40年。
技術開発だけ頑張らせて後は放置という状況は
いい加減にやめてほしいところ。
今、必要なのは技術の目標ではなく
日本を、そして世界をどう変えるかという
ゴールだと思います。