大手電力会社が新電力潰しにきている件

2017年6月13日 (カテゴリ: a&veinと再生可能エネルギー)

大手電力、法人営業で「不当廉売」まがいの大幅値引

2016年４月の電力小売り自由化を機に、新電力（ＰＰＳ）各社が一般家庭向け電力だけでなく法人顧客にも攻勢をかけるなか、東電や関電など大手電力が大幅値下げで対抗する事例が増えてきた。中にはＰＰＳの仕入れ価格を下回る値下げ提案もあり、ＰＰＳからは「不当廉売ではないか」との悲鳴が上がっている。（オルタナ編集部）

ここまで転載

これは新電力は痛いです。

電力の販売が自由化されたとはいえ、大半の需要家（電気を使っている人）は大手電力会社と契約しているはずです。

その人たちの利ざやを使って、新電力に契約を渡さないために採算度外視で電気料金を下げてきているのではないでしょうか？

これまでの新電力のビジネスモデル

これまで電力会社の電気料金に比べ新電力の電気料金は割安だというビジネスモデルで新電力は攻勢を仕掛けてきていました。

ここの大前提は「大手電力会社の電気料金が割高である」ということです。

実はこれは完全に正しいわけではありません。

大手電力会社は電気料金を自社の約款で定めていて、勝手に下げることもあげることもできない状態でした。

一方で需要家（電気を使う人）サイドの方では実は「本来であれば割安な電気契約ができるはずの人」や「十分にお安く契約できているラッキーな人」が玉石混合入り混じっていたということになります。

一般論ですが、夏に電気消費が落ちる学校や、電気使用にムラがある体育施設（体育館やサッカースタジアム）は値下げの余地が大変多く、新電力が割安販売をしかけるお客様になっていました。

今後の大手電力会社のビジネスモデル？

おそらくですが、今回の「新電力潰し」は一般住宅など利ざやを稼げる契約でとってきた資金を使って新電力が出て行く市場をあらかじめ潰していく狙いでしょう。

送配電会社は総括原価方式ですが、電力販売会社は違う前提のはずです。

ですが、実際はほとんどの需要家が電力契約を変えていないことから、引き続き総括原価に近いような状況になっていると言えます。

これが続くとどうなる？

一般論ですが、価格破壊を狙ったチャレンジャーが従来のチャンピオンに潰されるというパターンでは、チャンピオンの値下げ攻勢で一度価格が下がります。

しかし、チャレンジャーが破綻した後、価格は再び上がる形になります。

自由化潰しですね。

記事の中ほどにはこのように記載されています。

現在、新電力が契約していた企業に対して、旧一般電気事業者がより安い価格を提供して顧客を取り戻すという事例が相次いでいる。価格を下げるという点だけをとれば、健全な市場メカニズムの現れと考えることもできる。しかし、新電力に奪われた顧客に対してだけ、驚くほど安く販売しているのであれば適正とは言えず、その監視が必要となる

確かに何かしらの対策は必要になってくる案件ですね。

新電力は1年契約ずつ取っていき、オセロのようにそれを1年後に大手が取り返すというモデルが続くかもしれません。

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