北海道大学が「カメレオン発光体」を用いて太陽電池の効率を2%改善することに成功したらしいです(「カメレオン発光体」で太陽電池の変換効率が2%向上、パネルに張るだけ)。
カメレオン発光体とはあまり聞かない言葉ですね。これは紫外線を吸収して赤色光に変換する材料のようです。紫外線とは非常にエネルギーの高い光で、これを赤色光に変換すると2倍の量になります。もう少し詳しく言えば次のようになっています。
光には粒子としての性質があり、太陽電池は半導体に光の粒子が当たって電子をはじき出す性質を利用しています。この時、一つの光の粒子からは一つの電子しかはじき出せません。一方、紫外線の粒子が一個あたり持っているエネルギーは赤色光の粒子一個より2倍以上のエネルギーを持っています。残念ながら半導体太陽電池では、紫外線が当たっても赤色光が当たっても一つの光の粒子から一つしか電子をはじき出せないので、紫外線ではエネルギーを損していることになります。
そこで「カメレオン発光体」を使うと、紫外線の光粒子を吸収してそのエネルギーをうまく変換し、2個の赤色光の粒子を生み出すようです。太陽電池には2個の赤色光粒子が当たるので、2個の電子がはじき出されるわけです。
多分、「カメレオン発光体」を使った太陽電池は、光にあたると赤っぽくなるのでしょう。
従って「カメレオン発光体」を使えば紫外線の部分については2倍の変換効率になり、全体としても2%の効率向上になるようです。
この試みの良いところは「カメレオン発光体」をEVAに導入しているところです。EVAは太陽電池をガラスと裏面フィルムの間に封着するのに使う材料なので、今の太陽電池の構造のままで「カメレオン発光体」を利用できます。
開発された「カメレオン発光体」のコストや安定性についてはまだ判らないので、今は可能性としか言えませんが、このような形での効率向上もありそうです。
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