住宅太陽光発電所のオーナーらが作る自主グループPV-Netが主催するデジタルグリッドのセミナーに行ってきました。デジタルグリッドとは元東大特任教授の阿部力也氏が提唱する新しい電力取引の名前で、再エネの取引をブロックチェーンで記録して信頼性を高めていくものです。
ブロックチェーンを使ったこういう事業は最近流行のようで、いろいろな会社が取り組んでいます。国も補助金などで事業開発を支援しています。デジタルグリッドは環境省の「ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2削減価値創出モデル事業」に採択され、注目を浴びています。
ブロックチェーンを用いた再エネ取引が世の中の関心を集めていることは私も知っていて、少し勉強しています。帳簿上の複雑な取引を経由しても、再エネ由来の電気ということを信頼性高く保証できることなどが利点なのでしょう。
で、この方式の有利なことは認めるのですが、気になる点が二つありました。一つは、電力は負荷変動がある中で同時同量に供給していかなければならないのに、どうやって取引を成立させていくのかということ、もう一つはこのシステム取り込まれたユーザーが取引の量や相手、金額などに口出しできるのかどうかということです。
まず一つ目の同時同量の問題は、一般の電力取引と同じように、前日に翌日の天気予報などを参考に取引を約定させ、翌日の実際の取引でズレが生じた時はペナルティを課するという方法でズレを最小化するようです。多少のズレは生じるのでしょうね。
もう一つの、ユーザーが取引に口出しできるかどうかという問題は、あまり期待できないような印象を受けました。取引は電子的に自動で行われるわけですが、多分、AIか何かで最適な解を求めるようになっているのでしょう、ユーザーは取引をシステムに信託しているようなものですね。
大分、ブロックチェーンを使った再エネ取引のイメージが掴めてきました。いろいろと事前の動きが活発ですが、実際に動き出すのは住宅太陽光発電の高値買取り期間終了が始まる2019年以降と思われます。良いシステムを選んでいく余裕はまだありそうですからじっくり時間をかけて慌てないで取り組めそうです。
コメントを残す