この2つは別のプロジェクトですが、同じ会社が仕掛けたものなので、一つの話として括ります。話は2回に分けますが。
いずれのプロジェクトも90年代に開発調査として行われました。
仕掛けた会社は太陽電池を研究開発で行っていましたが、まだ事業にはしていませんでした。また、途上国プロジェクトに携わったこともありませんでした。しかし、当時の通産省(今の経産省)に強いコネを持つ会社で、通産省を経由してこれらのJICA開発調査を作りました。JICAプロジェクトなので、途上国支援の形をとりますが、実質的な目的は自社の太陽電池を売ること、あるいは太陽光発電の実績をつけることでした。
さて、・・・
マリはアフリカのサハラ砂漠の南側にある内陸国で、当然、乾燥地域です。従って水の確保は重要な課題であり、その解決のため太陽光発電ポンプを導入することが名目上のプロジェクト目標でした。
しかし、表面上は太陽光発電ポンプという単純なシステムの導入になっていますが、この会社はその先に地下ダムと太陽光発電揚水を組み合わせたシステムを売り込もうという魂胆を持っていました。マリのような国で太陽光発電揚水の実績を作り、更には地下ダムと組み合わせて砂漠緑化のシステムとして売り込もうという夢物語です。
太陽光発電で商売をしたことがなく途上国業務にも携わったこともない会社が、通産省のコネだけを頼りにこんな夢物語を企ててもうまく行くわけがなく、夢物語はその後頓挫してしまいます。問題は、夢物語の中で作ったプロジェクトだったので、内容が甘く、例えば太陽光発電のポンプは、井戸の水の量を十分確認しないまま設置されていました。
設置はきれいにできましたが、あっという間に井戸の水が枯れ、太陽光発電ポンプは使われなくなりました。設置まではしっかりやってあり、その後の状況はなかなか掴めないため、取りあえずはうまく行ったプロジェクトということになるのでしょうか。まぁ、この仕掛けた会社に悪気があったわけではなく、単に、無知だったためにこのような結果になったのでしょう。
別に非難する気はありません。国際協力は大きなプロジェクトで様々な組織が関連します。相手国、仕掛けた会社、通産省、JICA、プロジェクトチーム、それぞれがそれぞれの思惑を持ち、それを纏めるのは大変です。このプロジェクトはそれを纏めきれずに中途半端な形に終わりました。
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