前回、長州産業がオランダのECNと共同でMWT型の太陽電池で高効率を達成した記事(MWTバックコンタクト構造で世界最高水準のセル変換効率更新)を紹介しました。で、このMWT(メタル・ラップ・スルー)技術についての説明です。
図を省略しますので少し判りにくいかもしれませんが、 普通、太陽電池は表マイナス、裏プラス(だったと思う)に発電します。このためそれぞれに電極を付けて電流を取り出すようにしています。この時、裏側に電極を付けるのはそれほど問題ありませんが、表側は下手に付けると光を遮ってしまいますので工夫が必要です。普通、表側はくし電極と言われる細い電極とバスバーと言われる線で電流を集めますが、どうしても少し光を遮ってしまいます。
MWT技術というのは、表側の電極を少なくするための技術で、太陽電池に小さな穴をいくつも開け、そこから表の電流を裏面にまわして表の配線を少なくする方法です。その結果、裏面で全て配線することになり、バックコンタクトと言っているようです。
実は私はMWTの太陽電池を見たことがありませんので詳しいことを言えませんが、図の写真を見ますと、くし電極やバスバーらしきものが表に残っていますので、電極は残るけれど小さくしたり少なくしたりできる技術だと思います。ただ、このように小さな穴を太陽電池にダメージを与えずに開け、そこから電流を裏面に回すというのは、結構難しそうに思えますのでコストアップにならないかと言うのが私の懸念です・・・。
さて、今回長州産業はHITとMWTを使って今回の高効率を達成しました。しかし、本家のパナソニックやシャープでは、HITを使ってMWTを使わずにバックコンタクトで効率を上げる方法を研究していますので(太陽電池のHIT技術についてごにゃごにゃ)、そちらの方が本命のような気がしています。
長州産業は今後どうするでしょうね。
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