数日前に「紙より薄―い太陽電池、世界初???」というブログを書きました。詳細が良く判らず「世界初???」としましたが、少し詳しい内容が判りました(新聞紙より薄い太陽電池、インクジェット印刷で実現)。やはりインクジェット技術で作ったところが世界初だったようです。また、この記事を見て判ったのは、この太陽電池は「バックコンタクト」だったということです。
ここで「バックコンタクト」の説明ですが・・・ 普通の太陽電池では、光により半導体内で発生した電気を裏と表からプラスとマイナスに分離して取り出しています。このため半導体の裏と表にプラスとマイナスの電極を付けています。この時、裏側の電極はよいのですが、表側の電極は光を遮ってしまうためにできるだけ小さく作るように工夫されています。
「バックコンタクト」このプラス、マイナスの電極をどちらも裏側に付けて電気を取り出すという技術です。表側に電極が無い分、光をより多く利用できます。アメリカのサンパワーと言う会社が製品化していて、日本では東芝がこの太陽電池を採用しています。東芝の太陽電池を見ると表側に電極が無いすっきりした形であることに気がつくと思います。 ・・・「バックコンタクト」の説明終わり。
で、 「バクコンタクト」だと裏側の電極が細かい形になってしまうので、それをうまくインクジェットで描いたということか・・・。ただ、太陽電池として重要なのは発電する半導体部分。記事ではこの半導体はシリコンであるような表現なのですが・・・。
どうも50ミクロンほどの薄いシリコン基板を使って太陽電池を作るという既存の基本技術に対し、インクジェット技術を使ってうまく「バックコンタクト」を形成できるように改良した、というのが今回の技術開発のような気がします。
50ミクロン程度の薄い太陽電池を作ることはこれまでも行われてきましたが、薄くて割れやすいのが難点でした。そこを非接触の「インクジェット」技術で作りやすくし、更に複雑な「バックコンタクト」の電極形成も可能にした、ということでしょう。
なかなか技術開発のポイントが難解ですね。また、これが実用化まで至るかどうかは判りません。記事では「バックコンタクト」で20%ぐらいの変換効率が達成可能と見ていますが、そう簡単ではないだろうと思います。
いずれにせよ、これを日本が技術開発していることは歓迎すべきことです。独自技術を開発するには、それに伴って様々な関連技術開発必要で、その結果、技術が蓄積されていくという効果があります。太陽電池分野では引き続き技術開発に注力して、日本が世界をリードして行って欲しいなと思っています。
コメントを残す