最近、過積載の太陽光発電でピークカットなどで余ったパワーはどうなるのかという疑問を聞きましたので、少し説明したいと思います。まず結論から申しますと「安心してください、どこにも行かずパネルの中で消えます」と言うことになります。
太陽電池は陽が当たった分だけ発電することができるのですが、実際には発電した電力を全て取り出すのにはテクニックが要り、パワコンがその機能を果たしています。パワコンは太陽電池から取り出せる電力が最大になるように太陽電池の電圧・電流を調整し、太陽電池はそれに従った電圧・電流で動作することになります。
通常時は、太陽電池は最大電力点と言われる電圧・電流で動作していて、発電した全てが交流に変換され出力されます。しかし、パワコンが定格に達したり系統電圧が上がり過ぎたりすると、パワコンはそれ以上出力しないように調整します。この時、太陽電池からパワコンを見ると負荷の抵抗が増えたような形となり、電圧が少し上がって電流が大きく減り最大電力を出さなくなる訳ですが、ま、この辺りの細かい話は気にしなくても良いでしょう・・・。
要するにパワコンは調整する能力はあっても電力を処理する能力は無いので、結局、太陽電池の側で出力が抑えられるわけです。抑えられている間は、太陽電池の変換効率は下がり、余剰のパワーは太陽電池の中で消えることになります。
このように言うと、太陽電池の中で余剰のパワーが消費されて危ないのではと思われるかもしれませんが、問題ありません。
もともと太陽電池は当たった光エネルギーの一部(十数%ほど)を電気に変換して出力しているだけです。残りの光エネルギーは太陽電池の中で熱となって消えています。また、太陽電池を何にもつながずに出力できない状態にしておくと、当たった光は全て熱に変わって太陽電池の中で消えます。従って、発電した分が全て熱になって太陽電池の中で消費されるのは、太陽電池を出力せずに光の中に置いておくのと同じことで、問題ありません。
一般的に、太陽電池が発電出力していると、その分エネルギーが外に出てしまうので発電していない時よりパネル温度が数℃下がる効果があります。ピークカットで出力を抑えられると、その効果も抑えられますが、温度上昇分はせいぜい1℃程度でしょう。
もっとも、太陽電池に何かトラブルがあり、どこか一か所だけに発電したエネルギーが流れ込むような時は何十℃も温度が上がり(ホットスポットと言う)、とても危険です。これはピークカットとは全く別の話でが、気を付けてください。
下の図は私の発電所で見られたピークカットです。過積載率120%程度では12時頃にこの程度のわずかなピークカットしか発生しませんでした。もちろん温度上昇はほとんど無く、安全上も問題ありません。
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