太陽電池は結晶シリコンを使っていて、一般的に長期にわたって安定して特性を維持できると思われています。それでも若干の劣化は起こり、大体0.5%/年ぐらいの特性低下が起こると言われていました。これぐらいなら、20年で1割低下ですから許せる範囲ですね。
ところが最新の高効率太陽電池ではこれまで想定していなかった劣化が見られているようで、少し状況が違うようです。PVTEC(太陽光発電技術研究組合)の2016年11月号にその解説記事が載っていました。
高効率太陽電池としてPERC、SHJ(Silicon Hetero Junction、つまりHITのこと)、バックコンタクトが取り上げられています。私の理解が正しいかどうかわかりませんが、下記のようなことが書いてあると思います。
まず、PERCは最近多くの太陽電池メーカーで導入されつつありますが、太陽電池の裏面コンタクトでの電流ロスを抑えるため、裏面を絶縁膜で保護し電流はポイントコンタクトにしているところに特徴があります。このため、セル内の電流経路が長くなり、セル内の僅かな劣化にも影響を受けやすくなるようです。セル内では従来から材質に光劣化が起こると言われていて、PERCではその影響を従来の太陽電池より大きく受けてしまうようです。残念ながらどの程度劣化するかはこの解説記事には書いてありませんでした。
次に、SHJの劣化はパナソニックのHITの話なので興味津々ですが、この解説記事によるとSHJのアモルファスシリコン層が劣化しやすく、特にガラスからのNaイオンが移動してきてアモルファス層に侵入した時に劣化現象が見られるようです。PIDによく似た現象ですね。アモルファスが敏感なため、高電圧に因らない僅かなNaの侵入に対しても劣化するようです。残念ながらこの劣化についてもどの程度劣化するかと言う記述はありませんでした。
バックコンタクトでは従来から言われているPID現象が強く発現するようです。特にバックコンタクトの場合はpn接合部分を表面に晒す構造となっているためPID劣化が出やすくなったようです。
全体的に言えることは、「高効率になった分、劣化しやすくなっている」ということでしょうか。劣化しても20年後に普通の太陽電池程度になるのなら良いのですが、どの程度劣化するのかはまだ良く判らないようです。今のところ、PERCやHITの劣化が大きいなどと言う話は聞かないので、それほどではないことを期待していますが・・・。
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