昔、90年代の初め頃は、太陽光発電の市場などはほとんど無く、NEDOのプロジェクトなどで食いつないでいたのですが、少しでも売るためにODAの海外援助などにも太陽光発電を売り込んでいました。しかし海外の、特に途上国の仕事を作るのはなかなか大変で、国際業務に詳しい商社さんの協力があると助かりました。あの頃に途上国で太陽光の仕事などに協力してくれる商社などはそうそう無かったのですが、なかでも三井物産さんは結構協力的でしたので良く覚えています。
90年代も後半になると、世界的に途上国太陽光発電地方電化プロジェクトブームが起きて(あまり知られていない事実ですが)、いろいろな商社さんが関わってくるようになりました。それは良かったのですが、一方で日本のODAがだんだんと縮小され、それとともに太陽光プロジェクトも減っていき、2000年代になるとほとんど無くなってしまいました。
そういう訳で三井物産をはじめとした各商社の途上国太陽光発電活動もほとんど無くなって、もうこういう仕事は終わったかなと思っていましたが、久々に三井物産が途上国太陽光プロジェクトをやるというニュースを見ました(三井物産、東アフリカでソーラーホームシステムを展開するスタートアップ”M-KOPA”に出資へ)。
この記事で取り上げられているM-KOPAは、携帯電話網を使った月賦販売で話題になった会社です。ちょうどその頃私もケニアに居ましたので、M-KOPAで太陽光が普及していく様を目の当たりにしました。
太陽光発電のセットを月賦で買いやすくして無電化の地方村落民に売るというプロジェクトは昔から多くあり、私もいくつかのプロジェクトに参加しました。しかし、無電化の田舎から月賦のお金を徴収するのは大変難しく、ほとんどのプロジェクトは料金徴収が行き詰って失敗する羽目に陥ったといって良いでしょう。
M-KOPAの凄いところは、携帯電話網を使って料金徴収することで、かつての最大の問題を解決してしまったところにあります。ケニアというのは携帯電話利用の発達した国で、携帯電話によりでお金が送金することもできます(モバイルマネー)。ある意味、ネットを使った金融は日本より進んだところがあると言っても良いでしょう。M-KOPAのシステムでは購入者の料金支払いが遅れると、また携帯電話網を使って、そのユーザーの太陽光発電を動かなくすることもできます。このためユーザーの料金支払い率は大変高く、しかもどんどん売れていました。
今はもっとシステムが進化しているかもしれませんね。さすがに三井物産、これに目をつけ事業参画するに至ったようです。この事業実施にはモバイルマネーの制度が整っていることが必要ですが、これからアフリカではどんどん広がっていくような気がします。アフリカの国々はこれから諸制度を作っていく段階にありますから、こういう制度を作るのは難しくありません。むしろ日本のような先進国でこの制度を普及させるのは、既存の制度との整合が必要となって、時間がかかるように思います。
M-KOPAに参画すれば、ケニアでは太陽光以外の販売に発展できそうですし、他の国への発展も期待できそうで、結構面白い展開が期待できそうですね。
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