劣化の問題に入る前に、これまで触れた低照度特性についての補足をしておきます。
まず「にゃんた」さんからコメントを頂き、そちらのデータを確認しましたところ、確かに低照度でCIS太陽電池の方がシリコン太陽電池より発電が高いことを確認しました。私のデータとは逆の現象ですが、このようなデータがあるので早計には結論を出さず、低照度特性についてはまだ不明ということにしておき、引き続き検討していきたいと思います。
温度特性についても補足します。
CISメーカーの温度係数を調べましたところ、-0.31%/℃。これだと確かにシリコン太陽電池より小さいのではないかと思いますが、シリコン太陽電池の温度特性を調べるとあまり明確でなく、-0.3 から-0.5 %/℃ぐらいにばらついていました。私の頭の中にあった値とちょっとずれていましたが、実感と資料の値がかなり違っており、温度特性についても継続して検討ということにしておきたいと思います。
以上のことから、今後もCISに限らず太陽電池についていろいろ勉強させてもらい、判ったことはまた報告させてもらおうと思っています。皆様でもお気づきの点や面白いデータがありましたら、ぜひお知らせください。私なりにいろいろ考えさせてもらえたらと思っています、答えが出るとは限りませんが・・・・。
さて、劣化の問題についてですが、
CISの劣化についてはまだほとんどデータが無いのではないかと思います。従って、劣化についての評判があること自体に疑問を感じてしまいます。
今、私がCISの劣化について気にしていることを2つ挙げておきます。いずれもセミナーでの聞いたことですが、パワーポイントで表示はされましたが、資料としては配られなかったものなので、手元にデータはありません。記憶をもとに説明しますが、記憶違いがあるかもしれません。
- まず、マイクロクラックについて
CISは薄膜太陽電池なので結晶系シリコン太陽電池に見られるようなマイクロクラックは発生しません。しかし、電池が部分的に死んでしまうというような現象は起こるらしく、そのEL試験像をセミナーで見たことがあります。手元に写真がないのが残念です。その時はあまり問題意識がなかったので、どのような状況で発生したのか、説明があったのか記憶にありません。像ではかなりの部分が黒くなってしまっていました。
- 北杜での実証試験
山梨県の北杜市では各社の太陽電池の動作試験が行われています。CISももちろん含まれています。北杜の実証サイトは平成22年から稼働しているようですが、CISは初めに光照射効果で効率が上がった後は、かなりはやい速度で劣化していたように思います。ただ、CISはトラブルでモジュールが入れ替えになり、データが3年分ぐらいしかなく、あまりはっきりしたことは言えなかったようです。
上記いずれもCISを使っている人にとっては不安を感じさせる材料ですが、とにかくまだ確証がないため、なんとも言えません。劣化の問題についても引き続いて勉強していきたいと思っています。
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