途上国での太陽光発電プロジェクトは、無電化の人々に電気を与えるという美しい人道援助のテーマが簡単にできます。エナジーキオスク事業も同様の発想で行われていました。もう10年ぐらい前の話になるでしょう。多分、「エナジーキオスク」という言葉は、その時に作られたと思います。
そのプロジェクトは日本ではなく欧米の(多分アメリカ)のコンサルタントがぶち上げたものでした。コンテナハウスのような小屋に太陽光発電をセットし充電サービスを行う訳ですが、更に電動工具を置いてその小屋でローカルの工芸品を作れるようにする、更にはバイオディーゼル油を作る技術を地方の人に移転して、その小屋に設置したディーゼル発電機を動かし、もっといろいろな電気用品を使って地方産業を育成するセンターにするというものでした。このセンターを彼は「エナジーキオスク」と呼ぶことにしました。
まぁ、夢物語のような筋書なのですが、これを計画したコンサルタントはかなりのやり手で、国際援助機関から何億円かの資金を得ることに成功し、このプロジェクトを立ち上げました。大したものです、そこまでは、本当に。しかし、私がケニアに行った頃には、彼が作ったエナジーキオスクが、残骸となっていくつも放置されていました。
資金を提供した機関は国連工業開発機関(UNIDO)というところで、途上国の工業開発の資金を提供したりするところです。
正直言って、途上国のプロジェクトを経験している人なら、こんな夢物語のようなプロジェクトがうまく行くわけがないと判りそうなものですが、UNIDOはこの話にのせられてしまったようです。
実は、途上国での太陽光発電プロジェクトはほとんどが失敗しているので、必ずしもこのプロジェクトだけを責めるわけにはいきませんし、失敗とはいっても何らかの効果はあったでしょう。とは言え、実にコストパーフォーマンスの悪いプロジェクトでした。
既にこういう失敗例があるわけですが、前回紹介した記事のように、なぜ日本の会社が同じようなプロジェクトを計画したのかということに疑問が起こります。「エナジーキオスク」という同じ言葉を使っているのに、前の経験からの改善もほとんど見られません。たまたまこの記事に書かれていないだけかもしれませんが、不思議な気がします。
しかし、この日本の会社のことに言及する前に、日本の国際援助機関も前述のコンサルタントにのせられて、エナジーキオスクプロジェクトに巻き込まれることになりました。
話が複雑になってきました。更に次回に続きます。
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