<薄膜ソーラーセル: シースルーソーラーモジュール>
今回は、薄膜ソーラーセルを利用した違ったタイプのソーラーモジュールについて紹介します。
薄膜ソーラーセルを利用したソーラーモジュールで最も知られているのが、ソーラーフロンティア社製のソーラーモジュールでしょう。
CIS方式の薄膜ソーラーセルを用いて、薄型のガラスで表面をカバーしたもので、CIGS方式と同様、光の長波長側で変換効率が高いという特徴があります。このため、ソーラーフロンティア製モジュールは、「発電効率が良い」「予定よりも多くの発電量がある」と言われるのです。
薄膜タイプのソーラーモジュールは、自由にセルの配置パターンなどを設定する事が可能です。
また、ガラスに挟んだ形態で構成する事で、通常の窓硝子などへの応用も可能となります。
1.窓ガラスなどへ応用可能な薄膜タイプ シースルーソーラーモジュール
上記の薄膜タイプ シースルー型ソーラーモジュールは、セル自体を細いスリット形状として、隙間を空けることでシースルーを実現しています。
一例を紹介します。
写真は、Hanergy社製開口率30%のシースルーソーラーモジュールです。
実際の大きさ・出力は、下記の通りです。
1)大きさ: 635x1245x9.5mm
開口率 5%= 出力58W
開口率 10%= 出力55W
開口率 20%= 出力49W
開口率 30%= 出力41W
開口率 40%= 出力33W
2)大きさ: 1100x1300x9.5mm
開口率 5%= 出力98W
開口率 10%= 出力93W
開口率 20%= 出力81W
開口率 30%= 出力70W
開口率 40%= 出力59W
開口率が大きくなればなるほど、発電する部分が小さくなりますので、出力は小さくなります。
2.適用箇所
シースルーの必要性があるところは、太陽光を取り込む必要があるところ、向こう側が見える必要があるとことと言う事になります。
当然、窓ガラスへの適用が第一に考えられます。窓ガラスに適用する場合などは、すなわちビルなどに組み込むタイプになりますので、一般的にBIPV(Building Integrated PV=ビル組込型ソーラーモジュール)と言います。
もう一つは、ベランダや屋外の手摺りなどに適用する場合で、これを一般的にBAPV(Building Attached PV=ビル取付型ソーラーモジュール)と言います。
今後、CO2削減がさらに求められるようになった場合には、BIPV/BAPVなどの手法で、コストは二の次としても省エネ/創エネを取り入れる必要が出てくると思われます。
3.発電量について
では、シースルーソーラーモジュールでどれだけの発電量があるのか、計算してみましょう。
あるマンションのベランダにシースルーソーラーモジュールを設置すると仮定します。
実際に、写真のマンションに、1100x1300mmのモジュールを縦にして組み込む事とします。
下記写真の緑色の部分にソーラーモジュールを組み込む事とします。
ソーラーモジュールの組込面は、南東と南西に向いていると仮定して、下記の通り計算できます。
ソーラーモジュール開口率10%=93W、南東向き1456枚、南西向き924枚
PV発電量を計算すると、年間発電量で下記の通りとなります。
全体年間発電量=121MWh(南東向き発電量)+75MWh(南西向き発電量)=196MWh
それなりの発電量が確保出来ることとなります。
3.まとめ
以上、薄膜タイプシースルーソーラーモジュールについて、その応用箇所や発電量を試算してみました。
次回、同じくシースルーソーラーモジュールについて、省エネも実現出来るタイプを紹介します。
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