<薄膜ソーラーセル: 省エネタイプシースルーパネル>
しばらく時間が空いてしまいました。再び投稿復活です。
今回は、省エネ効果のある建物の窓として使ったり、サイネージにも使えそうなシースルータイプのソーラーモジュールについて紹介します。
前回紹介したシースルーモジュールは、下図の通り2枚のガラスの間に薄膜ソーラーセルを挟み、接着剤で接着した構造となっています。
完全に接着された状態ですので、湿気などはガラスでシャットアウトされています。
ソーラーセルは、半導体ですので、湿気には弱く、もし湿気を吸ってしまったらセル部分が変質し、発電が行われなくなってしまいます。信頼性や寿命に大きく影響すると言う事ですね。
これは、全てのソーラーモジュールに言えることで、全てのソーラーモジュールメーカーは、吸湿を防止できる様な素材を用いて、ソーラーセルを被っています。
一般のソーラーモジュールは、前面(太陽光の当たる面)にガラスを使っている場合が多いのですが、その理由の一つは、吸湿防止です。
もう一つの、ガラスを使っている理由は、光透過率の低下を防ぐと言う事です。
ガラスは、吸湿しにくく、紫外線の影響も受けにくいので、変色しにくい特徴を持っています。
樹脂の多くは吸湿や紫外線の影響で変色する場合がありますので、特殊なもののみがソーラーモジュールの封止素材として使える事になります。
1.基本的構造
省エネ・多機能対応のソーラーモジュールは、シースルーソーラーパネルと多機能ガラスの二重ガラス構造になっています。
ソーラーモジュールは、発電する機能を持っていますので、内部抵抗による発熱と太陽光を受けての温度上昇があります。
シースルーソーラーモジュールも例外では無く、太陽光を受けて発電している時などは、40℃を大きく超えてしまう時があります。
公園の滑り台なども、夏の暑い時期にやけどしそうなほど熱くなる時がありまうね。
窓ガラスに使うには、この様に熱くなるものをそのまま置いておくのは難しいですが、内側にもう一枚のガラスを配置した二重ガラス構造にすると、直接熱い部分には触れないですし、中空構造部分で断熱も出来ますので、いわゆる省エネガラスと言う事が出来ます。
上図で、Solar Cellはシースルーとなっており、四辺をスペーサで囲って中空構造として、第2ガラスを合わせています。
同じ様に、さらに1枚のガラスを使った三重構造も可能です。
2.省エネ効果
二重ガラス構造による断熱効果は、省エネに大きな効果があります。
遮熱効果を現す数値として、熱貫流率(U値:W/(㎡・K))があります。
単位体積当たりの熱の伝わり方を表します。
数字が小さいほど、熱が伝わりにくいものになります。
住宅において、一番熱が逃げる(あるいは熱が入ってくる)のは窓であると言われています。
省エネは、ご存じの通り冷暖房がどれだけ有効に効くのかがポイントです。
それだけに、窓からの熱の伝導を遮断するのは省エネに非常に効果があります。
おおよそのU値は、下記の通りです。
種類 | 熱貫流率(U値:W/(㎡・K)) |
単板ガラス(5mm厚) |
>6 |
二重ガラス化ソーラーモジュール ソーラーセル+空気層12mm
+6.8mmガラス |
2.8 |
三重ガラス化ソーラーモジュール ソーラーセル+空気層12mm
+Low-Eガラス3mm +空気層12mm+6.8mmガラス |
1.4 |
加えて、窓からの熱の侵入は窓枠がアルミなどの金属である場合も大きくなると言われています。最近では樹脂製の窓枠が増えてきていますが、これは省エネ効果を狙ってのことです。
3.二重化ガラスシースルーソーラーモジュール使用例
シースルーソーラーモジュールの使用例を示します。
こちらのシステムでは、シースルーソーラーモジュール(93W)を3枚使って、バッテリーに充電し、夜間照明としてLEDライトを点灯するシステムとなっています。
発電量としては、十分で曇りや雨の日も含めてバッテリー容量を1000Wh程度のものを用いる事で、夜間点灯をカバーできるものとなります。
4.まとめ
以上、シースルーソーラーモジュールとして、省エネも実現出来るものをご紹介しました。
次回、二重ガラス化ソーラーモジュールの別の使い方をご紹介します。
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