この報告会は毎年この時期に行われていて、研究開発の状況はもちろん、太陽光発電の政策や業界の方向などもそれなりに判るので、できるだけ聞きに行くようにしています。今年のプログラムの中では「産総研メガ・ソーラータウン全数調査の結果速報」というのが私の一番大きな興味の対象でした。
このメガ・ソーラータウンには各社の太陽電池が設置され約10年経過し、この機会に全数調査をしたようです。全部で6500枚ほどあるので大変な量です。勿論、メーカー名は伏せて報告されています。「速報」とあるので、いずれまとまったものが出てくるのでしょう。
ざっとした印象では、10年で結構トラブルが出てきているなという感じがあります。最も多いのはインターコネクタの接続不良。インターコネクタの不良は点で発熱するので、ホットスポットなどよりもずっと温度が高くなり危険です。現象としては、発熱を伴うのでEVAやバックシートの変色、焼損、最終的にガラス破損に至っています。火事にはなっていなくても発煙まで至ったケースがあったようです。
この話から、我々オーナーは何に気をつけるべきか考えてみました。
インターコネクタの接続不良は高熱を伴うので、サーモカメラで観測すれば発見は容易そうです。接続不良の段階が進むとEVAやバックシートの変色や焼損が起こるので、目視検査でも発見できます。ただし、そこまで進むと火事を起こす可能性があるので、できればサーモカメラを装備して、前段階で発見したいものです。50kWぐらいの発電所ならサーモカメラ観測も目視観察もそれほど負担にはならないでしょうが、数百kW以上だと・・・・。やはり良いモニター装置を装備して更にサーモカメラ観測となるでしょうか。
やっかいなのは屋根太陽光。サーモカメラで見ることも、目視検査も簡単にはできません。しかも不良モジュールが発熱すると火事を起こす可能性があります。大抵の屋根太陽光にはモニターが付いているので、こまめにモニターの値をチェックして、おかしいと思った時にはメーカーに相談するしかないでしょう。
次に電気的な出力検査では、全体的に5-10%ほど出力が低下しているようです。ここで評価された各社の内、2社ほどが少し成績が悪く、異常モジュールも多数発生し、全体の出力も1割強低下しているようです。他のところは5%から1割弱の低下です。
一般的に結晶系の太陽電池は年に0.5%ぐらい出力が低下すると考えられていますが、この結果から見ると1%ぐらい低下すると見ておく方が無難なようです。20年後の出力は80%ということになり、多分これまでのシミュレーションより5%ほど発電量を少なく見なければならないでしょう。
スネイルトレイルも最近急に増えてきたと報告していました。しかし、スネイルトレイルと電気特性の変化は必ずしも対応しないので、注意はしても、電気特性つまり出力に変化が出るまでは見守るしかないようです。
以上、取りあえず、私の速報です。とにかく貴重な経験がいっぱいあり皆様の参考になると思います。後に報告書が出ると思いますので皆様も注意して下さい。
インターコネクターが半分しかついていないというのは衝撃でした。
隠れるところ手を抜いているんですね。