電力業界では普通「抑制」と言うのですが、「停止」とはまた随分きつい言葉を使ったものですね。朝日新聞さんは何か意図があるのでしょうか(太陽光発電、九電が停止要求の可能性 原発再稼働も)。
記事に書いてありますように、太陽光発電も普及が進み、九電ではこのゴールデンウィーク時に太陽光発電が電源供給のほとんどを占める(8割以上)という事態が発生しました。問題は、太陽光発電が急に増えたり減ったりした時、それを緩和することが難しく、大規模停電を引き起こす恐れがあったということです。
この問題は昔から言われていたことで、そのために太陽光発電の供給割合が高まると出力を抑えて(抑制)、系統(送配電)が不安定になるのを防ごうという、「出力抑制」の手段が取られることになりました。幸い、今まで出力抑制が起こる状況が無かったのですが、今年のゴールデンウィークにそれに近い状況があったわけです。この調子で行けば今年の秋にでも、本当に「抑制」(停止?)が起こる可能性があります。これは、これまでの経過を知っていると、「いよいよその時が来たな」という感じですね。
出力が抑制されるとそれだけ発電のロスが生じますので、太陽光オーナーとしてはできるだけ抑制が無いことを望みます。一方、電力会社としては多めに抑制をかけ余裕をもって系統制御を行いたいと考えます。このため電力会社は太陽光発電に「年間30日までの抑制を受け入れろ」とか「無制限の抑制を受け入れろ」とか、いろいろなことを言ってきました。そんなに抑制が起こるものですかねぇ。
現状だと抑制が起こってもロスは全体の1%以下でしょう。しかし太陽光発電はこれから2倍、3倍と普及していかなければなりませんので、抑制も1割、2割と増えてくる可能性があります。そうなると抑制ロスで太陽光発電の経済性が悪くなる懸念がありますが、太陽光発電はどんどんコストが下がっていますので、ロスを緩和できる余地はあると思います。まぁ、抑制が無い方が良いですけれどね。
気になるのは電力会社が厄介なことを言ったために、銀行が「抑制」の起こり得る太陽光発電は経済性が悪いと思い、融資を渋るようになったことです。普通は、融資資金により太陽光発電に投資することが多いので、銀行が渋ると困りますね。銀行の説得に苦労した人も多いのではないかと思います。
まぁ、そういうことから私を始め太陽光発電関係の人は「抑制」という言葉の使い方には敏感になっていると思います。しかし、「停止」と言いますかねぇ・・・。
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