いろいろな太陽光発電所のブログを見て、日照時間を参考にしている人が多いことに気が付きました。確かに日照時間も太陽光発電の状況を知る参考にはなりますが、より参考になるのは日射量です。しかし、日射量と日照時間の意味の違いが紛らわしいと思いますので、ここで少し整理しておこうかなと思います。
まず日射量とは、一定時間に太陽から降り注いでくる光のエネルギー総量を示すもので、kWh/m2やMJ/m2などの単位で表されます。日射強度という言葉もあり、これはある一瞬の光の強さを示したもので、kW/m2やMJ/m2 が単位となります。日射量は一定時間内の日射強度を総加算したものと言って良いでしょう。
一方、日照時間は太陽の光が0.12kW/m2以上であった時間を示し、単位には時間が使われます。ちなみに0.12kW/m2という光の強さは、少々曇っていても得られる値です。
これでも紛らわしいですが、1日の光強度の図を使って示すと下のようになります。
以上を比べると判ると思いますが、日照時間は光の強さが0.12kW/m2以上かどうかだけで決まるのに対し、日射量は光の強さも反映した量になっています。
具体的に言うと、例えば0.13kW/m2の強さの光が3時間続いても、0.5kW/m2の強さの光が3時間続いても、日照時間は同じ3時間ですが、前者の日射量は 0.13 × 3時間 = 0.39 kWh/m2に対し、後者の日射量は 0.5 × 3 = 1.5 kWh/m2 となります。
太陽電池の出力は光の強さに比例しますから、日射強度に比例するはずです。従って、日射量と太陽光発電量を比べれば、太陽電池が正常に動作しているかどうかわかります。日照時間でも両者の相関はとれるでしょうが、正確な比較はできません。
このように太陽電池を評価するには日射量を使うのが望ましいですが、問題は各地の日射量を知ることが難しいという点にあります。手っ取り早いのは日射センサーで日射強度を測ることですが、これにはコストがかかります。
リアルタイムで日射強度を知るのは困難ですが、過去の全国各地の日射量を示したデータベースをNEDOや気象庁が公開しています。
(http://www.nedo.go.jp/library/nissharyou.html )
これを使えば、リアルタイムでの太陽電池評価は難しくても、発電量シミュレーションぐらいはできます。ほとんどの太陽電池メーカーもこれを使って発電量シミュレーションをしていると思います。
次回は、日射強度/日射量についてもう少し説明する予定です。
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