太陽電池の熱を抑えたり有効利用したりする話は昔から良く聞きます。成功すれば良いなとは思っていますが、難しそうです。最近もこれに挑戦するニュースがありました(サンジュニア、熱放出を抑える太陽光パネル開発着手)。
太陽光パネルの温度を下げようとするのは、太陽電池は温度が上がると効率が下がってしまうという性質があるからです。太陽電池の温度を下げて、その熱を他に利用できれば一挙両得になると考えるのは当然の成り行きでしょう。
太陽電池の熱を抑えるというのは難しいことではありませんが、意外にコストがかかる割に効果は限定されます。
太陽光パネルは夏の暑い時には70度ぐらいまで上がりますが、普通は50-60度ぐらいです。これをある程度効果があるほど冷却しようとすると20度ぐらいは温度を下げたいところです。それでも発電の改善効果は3-4%ぐらいでしょう。一方、冷却に使った後の水の温度は30-40度ぐらいで、お風呂には使えますが保温タンクや追い炊き機構は必要なので結構コストがかかります。結局、コストがかかる割には発電量の増大や光熱費の削減が少なく、うまく行かないことの繰り返しでした。
今回のサンジュニアと言うのは太陽熱温水器を扱っている会社ですね。太陽光発電も取り扱っているようなので両方に対するノウハウがあるのかもしれません。2020年を目指して開発する計画のようですが、どのようなものが出てくるのか興味があります。
ところで、記事のタイトルにある「熱放出を抑える」という表現は少し気になりますね。記事を読むと更に「発電時に熱を放出しないパネルを開発」とあります。これだと太陽電池は発電の際に熱を放出するように聞こえてしまいます。
確かにパネルは太陽光を受けて熱くなりますが、発電している時は熱の一部を電気に変えていますので、温度は少し下がります。多分、発電によりパネル温度は4-5度下がります。発電で温度冷却効果があるとは言いませんが、温度が上がるような表現はちょっと・・・。最近では記事にもありますように、パネル設置で周囲の気温が上がってしまう(これは土や植生が無くなってしまったことによるもの)というトラブルもあるようなので、誤解を招くような表現は極力避けるようにする必要があります。
太陽光発電も難しい時代になりました。
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