12月の出力抑制回数について、
ここ数年の推移を整理してみました。
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2022年:0回
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2023年:3回
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2024年:10回
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2025年:4回
近年、出力制御は明らかに増加傾向にあります。
2025年は一見すると減っているようにも見えますが、
これは天候や一時的な需要増、系統状況による要因が大きく、
構造的な問題が解消されたとは言い難いと感じています。
そもそも出力制御とは、
電力の需給バランスが崩れた際に、
供給過多を防ぐため各発電所を遠隔操作し、
系統への売電を強制的に抑制する仕組みです。
この点については、
発電事業者は制度上すでに合意しており、
正直なところ、
「文句を言っても勝ち目はない」
というのが実情でしょう。
では、出力制御を緩和するために
どのような対策が取られているのでしょうか。
まず国(経済産業省主導)としては、
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系統用蓄電池の設置
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域外送電の拡充
といった方向性を示しています。
一方、電力会社側では、
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昼間需要を増やすための
エコキュート活用型料金プランの導入
などが進められています。
さらに、発電事業者に対しては、
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発電所内に蓄電池を併設し、
出力を調整しながら供給すること
が求められつつあります。
これは、経産省が民間に委ねている施策とも言えますが、
実態としては、大手小売事業者が
低圧の太陽光発電所を買い集め、
まとめて管理・調整しようという流れです。
ただし現実は厳しい。
仮に、購入した発電所に
200kW程度の蓄電池を設置すると、
それだけで 800万~1,200万円 程度のコストがかかります。
当然、その分を考慮して
太陽光発電所の買取価格は下がります。
売却側からすれば、
まだ残債が残っているケースも多く、
「その価格では売れない」
というのが本音でしょう。
そうした中、最近の企業リリースでは、
次のような動きも見られます。
おそらく、過去に発電所を購入した顧客に対し、
順次声をかけているのでしょうが、
実際の買取価格は
当時の販売価格の半値程度
という話も珍しくありません。
こうした状況を見るにつけ、
当時の民主党政権下で進められた
FIT制度が、
いかに長期的な需給調整を
想定しきれていなかったか、
考えさせられます。
この現象は日本だけではなく、
世界各国でも同様に発生しており、
海外では系統用・発電所併設の
蓄電池建設が急速に進んでいます。
一方、日本はというと、
なかなか簡単ではありません。
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用地が限られている
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送電系統に余裕がない
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大型トレーラーが通行できない
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民家が近接している
など、
制約条件が非常に厳しいのが現実です。
民間だけで対応するには、
そろそろ限界も見え始めている、
そんな印象を受けます。
こうした状況が続けば、
再エネだけで需給調整を担うのではなく、
原子力発電所側の出力制御
という議論が表に出てきても、
不思議ではありません。
実際、特許を調べてみると、
といった技術は、
すでに認定されています。
あとは、
「いつ、どの段階で実行されるのか」
という話だけでしょう。
でわでわ。
ほな、さいなら。

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