中東情勢悪化がもたらす生産停止の連鎖(2)

(カテゴリ: コンサル, 太陽光)

第二部:素材・エネルギー不足が引き起こす次の停止

第一部で述べた通り、現在の生産調整は物流の停滞に起因している。しかし、より深刻なのはその次の段階である。

それが資源制約による「物理的に作れない状態」である。

日本はエネルギーおよび基礎素材の多くを中東に依存している。具体的には、原油の約9割が中東依存であり、ナフサやアルミニウムといった基礎素材も約7割が中東由来とされる。

ナフサは石油化学製品の基礎原料であり、樹脂、合成繊維、自動車部品など広範囲に使用される。この供給が滞ると、単一の産業ではなく、複数産業に同時に制約がかかる。

ここで重要なのは時間軸である。

第一段階では輸送遅延により在庫が積み上がる。
第二段階では新規入荷の遅れにより在庫が減少する。
第三段階では在庫が枯渇し、生産ラインが停止する。

この第三段階に入るまでの猶予は、一般的に1か月から3か月程度とされる。業種や在庫水準によって差はあるものの、多くの製造業は長期在庫を持たないため、影響は時間差をもって顕在化する。

電機産業や半導体産業も例外ではない。直接的に中東依存が低く見えても、樹脂や化学素材、輸送コストの上昇を通じて間接的な影響を受ける。結果として、部品供給の遅延が発生し、生産ラインの部分停止が広がる可能性がある。

また、海運コストの上昇も無視できない要素である。輸送日数が倍増すれば、船舶の回転率は低下し、実質的な輸送能力は減少する。これは運賃の上昇として顕在化し、製造コストを押し上げる。

つまり今後のリスクは三層構造で進行する。

第一に物流遅延による減産。
第二に在庫枯渇による停止。
第三にコスト上昇による採算悪化である。

ここまで進むと、単なる一時的な調整ではなく、企業の収益構造そのものに影響を及ぼす。

第二部の結論として、今回の中東情勢の影響は時間差を伴って拡大する性質を持つ。現在見えている減産は入り口に過ぎず、今後は素材不足とコスト上昇を通じて、より広範な産業で生産停止が現実化する可能性が高い。

重要なのは、点ではなく線で捉えることである。既に始まっている変化を、どの段階にあるのか見極めることが、今後の判断に直結する。

 

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