デンソーとトヨタ、再エネ水素を工場で製造・活用 地産地消モデル構築へ

(カテゴリ: 太陽光, 投資)

デンソー(愛知県刈谷市)とデンソー福島(福島県田村市)は3月9日、トヨタ自動車(愛知県豊田市)と共同で、デンソー福島の工場内でのグリーン水素の製造と、製造した水素の工場ガス炉内での活用の実証を開始すると発表した。

今回の実証を通じて、水素製造から利活用までのパッケージを構築し、そのパッケージを複数組み合わせることで工場の規模に応じて必要とする水素量を最適に導入できる「水素地産地消」モデルを構築していく。さらにデンソー福島を起点に、福島地域で水素利活用を推進する仲間の輪を広げ、福島から全国へ「水素地産地消」モデルの展開を目指す。

「つくる」「つかう」「はこぶ」の複合的プロジェクト

この実証では、「つくる技術」「つかう技術」「はこぶ」の3つの分野でさまざまな成果を目指す。

従来よりも安価な水素製造

水素を「つくる技術」では、トヨタが開発した水を電気分解して水素を製造する水電解装置を導入し、デンソー福島で自家発電した再生可能エネルギーを使用して水素製造を行う。この水電解装置は、システム内の水電解用スタックを燃料電池車(FCEV)「MIRAI」と共通化することで、高い信頼性・耐久性・初期導入コストの低減と、従来よりも安価な水素製造を目指す。

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NOxガス排出の抑制と省エネ燃焼の両立

水素を「つかう技術」では、工場内で発生した排出ガスを無害化するアフターバーナー炉において従来使用しているLPガスを、製造した水素に置き換える。水素を高温で燃焼すると窒素酸化物(NOx)ガスが発生するが、バーナー構造の工夫により水素と空気を穏やかに混合し燃焼させることで燃焼温度を低減させる。加えて、自動車部品開発で培った内燃機関での燃焼解析技術を応用し炉内の燃焼状況を把握することで、NOxガス排出の抑制と省エネ燃焼の両立を実現した。

水素の地産地消でコスト低減

さらに、水素を「はこぶ」際の課題とされている輸送コストについては、自社内で製造した水素を自家消費する「水素地産地消」によりコスト低減が可能になる。

デンソー福島では、これまでも自社内に太陽光・風力発電を設置し、化石由来の電力を自家発電での再エネに置き換えるなどの取り組みを進めてきた。またデンソーグループは、2021年6月より福島県とトヨタ自動車(愛知県豊田市)が開始した、「福島発」の水素・技術を活用した新たな未来のまちづくりに向けた活動に共感し、パートナー企業として、取り組みのひとつである「水素の利活用を通じた工場におけるカーボンニュートラル化」に参画している。

水素を「つくる」「つかう」技術開発に注力

デンソーグループでは、2030年長期方針に基づき、環境分野では、カーボンニュートラルの実現を目指し、「モノづくり」「モビリティ製品」「エネルギー利用」の3つの領域からさまざまな取り組みを行っている。

カーボンニュートラルに加えて循環型社会の実現への貢献に向けて、「人流」「物流」「エネルギー流」「資源流」と、それを支える「データ流」の「5つの流れ」を相互につなげ統合的に制御することに取り組んでいる。

なかでも「エネルギー流」では、電気、水素、燃料などのさまざまなエネルギーを組み合せたエネルギー循環システムの構築を目指している。その取り組みの一つとして、将来のクリーンエネルギーとして注目をされている水素を「つくる技術」「つかう技術」の開発に注力している。

「水素地産地消」モデルを構築

今回、トヨタは、「MIRAI」やFCバス「SORA」に搭載しているFCスタックを流用して、水を電気分解して水素を製造する水電解装置を新たに開発し、今後の普及促進に向けた技術実装の場として、デンソー福島の工場において稼働を開始する。

この水電解装置は、トヨタが長年にわたるFCEV開発で培ってきた技術、世界の様々な使用環境の中で蓄積してきた知見・ノウハウを活かして新開発したものだ。その特徴として、水を電気分解するスタック(水電解スタック)に使用しているセルは、2014年12月の初代「MIRAI」発売以降、700万枚以上(FCEV約2万台分)の量産・使用実績があり、高い信頼性を確保していることなどを挙げている。

また水電解スタックの生産過程において、FCEV用FCスタックの部品とFCスタック生産設備の90%以上の流用/共用が可能で、これによる量産効果により、今後、普及可能なコストレベルを追求するとともに、知見を活かすことにより開発期間の大幅な短縮が可能だとしている。

「つくる」領域での選択肢の拡大にも貢献

トヨタはカーボンニュートラルの実現に貢献するために、CO2排出量の削減を目指した取り組みを進める中で、水素を重要な燃料と位置づけ、水素を「つくる/はこぶ/ためる/つかう」の各領域において、様々な業界のパートナーとの取り組みを進めている。

これまでは、FCEVやFC定置式発電機、工場での製造時などで水素を「つかう」とともに、水素運搬のためのFCトラックの開発・製造など「はこぶ」活動を進めてきた。今回の水電解装置の開発による水素製造に加え、今後、タイでの家畜の糞尿から発生するバイオガスを活用した水素の製造に取り組むことにより、「つくる」領域での選択肢の拡大にも貢献していきたいとしている。

出所:環境ビジネス

 

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