車両の認証不正に絡み、国内の完成車工場の生産を全て停止する異例の事態となったダイハツ工業。生産の全面停止が取引先や雇用に影響する恐れがあり、ダイハツ車の一大生産拠点となっている九州でも不安が広がっている。
ダイハツの国内生産の5~6割に当たる約48万台(2022年度)を生産する大分工場(大分県中津市)。工場を運営する、ダイハツ工業の子会社・ダイハツ九州(本社・同市)は04年、前身のダイハツ車体時代に前橋市から本社機能と工場を中津市に移転する形で生産を始め、06年に現社名へと変更した。
工場と本社では計約4000人が働くが、25日から操業を停止し、従業員の一部は出勤していない。エンジンを製造する久留米工場(福岡県久留米市)も22日から操業を停止した。
影響は子会社のみにとどまらない。
帝国データバンクによると、ダイハツ工業と取引のある主な取引会社(サプライチェーン)は大分県内だけで89社。下請けを含む関連売上高は計4800億円に上る。大分県外にも関連会社は多く、福岡県内では181社で関連売上高は計264億円、九州7県では405社で計5283億円にも達する。
ダイハツ九州に自動車部品を納入してきた中津市の物流会社は、売上高の半分をダイハツ関連が占めるといい「予想外の出来事で、対応に追われている」と困惑を隠せない。
問題発覚後は通常業務をやめ、ダイハツ関連の作業を担当していた約20人のうち数人は他メーカーの仕事に振り替えた。年明け以降は10人ほどを休ませながら、ダイハツの操業再開を待つ予定だ。
この会社の担当者は「うちはダイハツ九州が中津に移ってきた当時からの付き合いだが、こんなことは初めて。一刻も早く通常の生産体制に戻ってほしい」と話す。再開に備えて雇用を確保しておく必要があるといい「ダイハツには、従業員が休業した分の補償もしてほしい」と訴える。
ダイハツの操業停止を受け、大分県は県内の中小企業の経営に影響する恐れがあるとして、資金繰りなどの相談を受ける窓口を開設。福岡県も同様の窓口を開設し、事情に応じて融資制度などを紹介している。
帝国データバンク情報統括部の佐古真昼氏は「大分を中心にダイハツに関連する企業が多い九州は、他のエリアと比べても大きな影響が出ることが予想される」と分析。「下請け会社の従業員や派遣社員などが仕事を失う可能性もあり、行政による支援など早急な対応が必要だ」と指摘する。【田崎春菜、平川昌範】
出所:毎日新聞
抑制がまた増える勘弁してほしい
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