AC200V用電圧検出トランスを動作させてみた。電圧比=200:5, 無負荷時1次側電流=330uAだった。

(カテゴリ: 遠隔監視, 電圧検出トランス)

 電力計測のために電圧と電流を計測します。電圧計測のために電圧検出トランスを買ってあったのでした。→AC200V用電圧検出トランスの選定
今回、この電圧検出トランスの動作確認をしました。

(電流計測にもトランス(カレントトランス)を使いますがそれはまたの機会に書きます。)

買ったのはこれです。
グローウィル社製 電圧検出トランス VT3510-A01

そのページを見ると電圧の入出力の関係のグラフがあるのですが、疑問点がいくつかわいてきます。
1. 入力がAC200Vのときに出力が4.6V程度となっていて、なんでこんな中途半端な電圧なんだろうか。
2. 2次側に負荷抵抗150Ωを接続しているようだが、電圧「検出」用としては抵抗値が妙に小さい(電流が流れすぎてもったいない)。理由はなんだろうか?
3. トランスなのだから、まずは電圧比なり巻数比を知りたい。
4. AC200Vにつないだ場合に電流はどれくらい流れるだろうか。

以上の観点から動作確認しました。

電圧検出トランス VT3510-A01の動作テスト。200V:5.0V

電圧検出トランス VT3510-A01の動作テスト

中央のトランスがテスト対象(DUT; Device Under Test)としてのトランスです。
左側のトランス2個はAC200V を発生させるためのものです。1次と2次を逆として、左から数Vの正弦波電圧をそれぞれに印加しています。昇圧された電圧を直列にして積み上げています。これでAC200Vを得ています。
DUTにおいては、1次側=200V(左側テスター), 2次側=5.0V(右側テスター)となりました。
よって、
★変圧比=200:5(=巻数比)
と判断できます。

DUTの一次側の電流も測定しました(写真とは別の配線。写真なし)。
1kΩの抵抗を直列に入れてその両端の電圧から電流を求めました。
結果は、
(1) 2次側Open のとき、326μA
(2) 2次側負荷抵抗=10kΩのとき、335μA
でした。
よって、
★一次側電流=330μA
とみておけばよいでしょう。

なお、テスターでトランスの直流抵抗も測定しました。
1次側直流抵抗=4.3kΩ
2次側直流抵抗=9.9Ω
でした。
これより、2次側に150Ωの負荷を接続したときの電圧を計算してみると4.6Vになります。グラフと合います。
(2次側からみた出力インピーダンスは約13Ωとなって、5V×(150/(13+150))=4.6V)


<まとめ>
・DUT: グローウィル社製 電圧検出トランス VT3510-A01
・変圧比(=巻数比)=200:5
・一次側電流=330μA
 (条件: AC200V入力, 2次側負荷抵抗=Open または 10kΩ)
・1次側直流抵抗=4.3kΩ, 2次側直流抵抗=9.9Ω
・負荷抵抗150Ωを接続することは必須ではない。
 (負荷抵抗150Ωを接続する意味は明確にはわからない。抵抗ひとつで入出力レンジを修正することが目的かもしれない)


ちなみに、このトランスをつけっぱなしにしたときの売電量への影響を試算してみます。
消費電力は(1個で)、200V×330μA=66mW となります。
3個つけた場合、66×3mW=198=約200mW
これを一ヶ月の電力量に直すと、
200[mW]×24[h/day]×30[day]=144Wh
=0.144[kWh]
となります。
売電単価として例えば高めに評価するために42[円/kWh]と仮定すると
42[円/kWh]×0.144[kwh] = 6円 (一ヶ月で)
となります。問題にならない額です。

さて、金銭面での影響はこれで終わりかというとそうではないと思われます。
夜間もパワコンは動作しているので、東京電力とは売電契約のほかに
「低圧電力」という、電力を使う立場としての契約を結んでいるのでした。
今回のトランスを接続すると、それは電力を使っていることになります。
それがいくらかは上と似たような計算であり、ひと月数円程度(の出費)になります。


ちなみに2
今回、実験ではAC200V を扱いました。感電しないように注意しました。


ちなみに3
よく考えると、AC200Vの生成にはトランス2つはいらず、1個ですみましたね。入力電圧を2倍にすればよいのですね。


ちなみに4
トランスひとつで40倍に昇圧できます。継続接続することにして、2段にすれば40×40=1600倍、3段で。。。と昇圧できる。
トランスたったの2段で、5Vの1600倍=8000V が得られる。 3段ならもっと。
怖いから実験しませんけど。

以上です。ではまた。

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