今回は2.500V基準電圧源を作った報告をします。
前回は AC200V の電圧を計測するための電圧検出トランスについて報告しました。AC200VをAC5Vに降圧するものでした。
あとはこのAC5Vの信号を適宜ダイナミックレンジを合わせてさらにバッファリングすれば、5Vで動作しているマイコンRX220のADコンバーター(ADC)に接続して数値化できます。
しかしひとつ憂鬱になることがあります。それは、計測値として絶対的な値を求めなければならないことです。数値として a [V] と計測できたとしてその精度はいかほどかという問いが常にまとわりついてきます。あまり立ち入りたくない世界です。
ここでは下手な考え休むに似たり、ということで、高精度の基準電圧源ICに登場してもらいました。MAXIM 社の MAX6225 です。(下の写真)
精度のよい 2.500V を出力してくれます(*1)。これをマイコンのADCで読み取り、AD変換値を電圧に換算する際の基準とする目論見です。
それと、正負をとるAC電圧の中点電圧の基準にすることも予定しています。
なお、このICはマルツの通販で入手できました。1個600円で納期が少しかかりました。
ということでこのICを動作させる回路作りました。それが冒頭の写真です。
■作った回路の出力電圧の測定
出力電圧の測定の様子を下に示します。
手元のテスターで測定結果が見事に 2.500V と表示されています。
しかしテスターの精度は1%程度のものですから、2.500Vを測定して1mVの精度で合っているはずがない、と考えるべきです。
ということで、別のテスターで測定してみると、案の定、2.508V であり、ずれてます。ずれ量としては 1%以下であり妥当な結果です。
テスターの結果はそのまま信用できないことがわかります。とはいえテスターとしては最初のテスターの方のほうがより信用できる、と言えるでしょう。
では本当に2.500Vなのかが心配になります。そこでIC(MAX6225)を別のものに差し替えてみると、最初のテスターで計って 2.500V となりました。なかなか評価が難しいですが、IC2個の個体間のばらつきは1mV以下であることは確かでしょう。またデータシート上は+/-3mV のずれはあるのですが、通常はもう少し狭い幅で中央付近でばらつくはずなので、実際の値は 2.500V +/-1mV であると推察します。そして、このテスター表示はその程度で正確なのではと考えます。
(手元で使っていたテスターは「当たり」であったと言える)
■回路図
回路図を下に示します。手書き図面のpdfファイルです。
2.500V基準電圧発生部回路図
<回路メモ>
・MAX6225 は 10V 入力のときが出力電圧のずれが最小(0ppm)(*2)ということなので、オーバースペックとは思いますが 10V を印加するようにしました。テスターでの実測で 10.07V となっています。
・抵抗値の 700Ω は 680Ω + 20Ω がよいと思われますが、手元にないので、苦肉の組み合わせ(1kΩ//47kΩ//47kΩ)にしています。
・LMC6482の出力の抵抗330ΩはマイコンのADCと接続する上では不必要に大きいかもしれません。あとで変更もありえます。
*1: +/-0.02% initial Accuracy
*2: データシートのグラフを読むと、9V で -5ppm, 11V で +5ppm.
長くなりました。ではまた。
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