「利回り〇〇%!」という売り文句が並ぶ中古太陽光発電所の市場。確かに表面的な数字だけ見れば魅力的に映る物件は多い。しかし太陽光発電投資を取り巻く環境は、ここ数年で劇的に変化している。金利、制度、盗難リスク、出力制御、税務、機器の保守問題——あらゆる方向から収益を圧迫する要因が積み重なっている今、「利回りだけ見て買う」ことは非常に危険だ。
このブログでは、中古太陽光発電所の購入を検討しているオーナー・投資家の方に向けて、見落としがちなリスクと判断軸を可能な限り具体的に整理する。前回の記事に引き続き、現時点でわかっていること・考えられることを一切省略せずに書く。長くなるが、それだけの価値がある情報だと思っているので最後まで読んでほしい。
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■ FIT残年数を「真っ先に」確認せよ
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中古発電所を見るとき、まず確認すべきは「年間表面利回り」ではなく、FITの残余年数とそこから得られるキャッシュフローの総額だ。
FIT(固定価格買取制度)は設備認定の時期によって買取単価と買取期間が異なる。太陽光の場合は原則として認定から20年間の買取となるが、中古市場に出回っている物件の多くはすでに5〜12年以上が経過している。残りが10年を切っているならば、単純な「年利〇〇%」という表示だけでは到底判断できない。
考えるべきは「残FIT期間中に合計いくらの収益を得られるか」、つまり投資総額に対する累計収益の倍率(ペイバック比率)だ。例えば残8年・年収益120万円の物件を1,200万円で購入すれば、FIT終了時点での回収額は960万円。ローン利息、固定費、各種維持費を含めれば元本回収すら怪しくなる水準だ。
「年利10%」でも残5年なら累計50%。元本回収は不可能な水準だ。必ず残存期間×年収益の総額と購入価格・諸費用の合計を照らし合わせてほしい。
また、売り出し価格だけでなく仲介手数料・登記費用・金融機関の融資手数料・各種検査費用なども取得コストに含まれる。これらを加算した実質取得総額でペイバック計算をしないと、実態より甘い数字になってしまう。
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■ 廃棄費用積立金の強制徴収——FIT11年目から始まる「見えない費用」
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2022年の制度改正により、FIT認定を受けた発電事業者は一定のタイミングから廃棄費用の積立が義務付けられた。具体的にはFIT開始から11年目以降、FIT終了まで毎年の売電収入から自動的に積立額が差し引かれる仕組みだ。
重要なのは、FIT買取単価の水準によって積立金の係数(控除率)が異なる点だ。高単価の旧案件——例えば36円/kWhや40円/kWh台の認定を受けた発電所——は積立係数が大きくなるため、実質手取り収入が予想よりも相当程度減少するケースがある。購入前に必ずFIT単価と積立係数を確認し、実際の年間手取り額を再計算することが不可欠だ。
特に購入後すぐに11年目を迎える発電所は注意が必要だ。積立が始まった翌月から実質的な収益が下がることを前提に収支を組まなければならない。売主や仲介業者が提示する「年間収益見込み額」がこの控除前の数字になっていないかを必ず確認してほしい。控除後の手取りベースで収益計算をしている仲介業者ばかりではないのが現実だ。
積立金は「将来の廃棄費用を確保する」という制度趣旨であり、発電所撤退時には積立分が戻ってくる仕組みではあるが、それはFIT終了後・廃棄完了後の話。キャッシュフローとしては確実に「今の手取りが減る費用」として捉えるべきだ。
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■ 固定費として必ず計上すべき税金——償却資産税と固定資産税
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太陽光発電所の収益計算をするとき、税金の扱いを甘く見ている投資家が多い。ここで整理しておきたいのは、主に二つの税目だ。
【償却資産税(固定資産税のうち償却資産に係るもの)】
太陽光発電設備(パネル・架台・パワーコンディショナ等)は償却資産として市町村に申告が必要であり、毎年1月1日時点の評価額に対して課税される。税率は標準税率で評価額の1.4%だ。発電所規模にもよるが、低圧発電所(約50kW)でも年間数万円〜十数万円の負担になる。購入当初は評価額が高く、年々逓減するが、それでも決して無視できない固定費であることに変わりはない。
中古物件であれば売主の申告実績から過去の納税額を確認できるはずだ。必ず確認して毎年の固定費として収支に組み込んでほしい。
【土地にかかる固定資産税】
土地を所有している発電所であれば、土地の固定資産税も毎年発生する。山林・原野を転用した発電所が多いが、転用後の地目変更や評価替えによって金額が変わることもある。土地賃貸の場合は地代の中に含まれるケースと別途請求されるケースがあるため、契約内容を必ず確認すること。
「年間収益〇〇万円」という数字に、これらの税金が含まれて差し引かれているかどうかを確認すること。グロスの売電収入だけを示して「利回り」と表示している案件は珍しくない。
【「節税メリット」を前面に押し出した案件には要注意】
中古太陽光発電所の売り込みで「節税になります!」という言葉が使われることがある。しかしこれには非常に危うい側面がある。
一つ目は一括償却(即時償却)のパターン。実際のところ一括償却のFIT中古発電所は無いと思われるので、他の投資商品の話になるが、一括償却してしまうということは一括で節税制度を使い切ってしまうということである。翌年以降に減価償却による節税が不可となり納税額が大変なことになる。あくまでこれらを計算した上で選択できる別の本業がある事業者向けの制度なのである。
二つ目はさらに本質的な問題だ。「節税になる」ということは、裏を返せば「それだけ経費が多い(あるいは収益が少ない)から所得が圧縮されている」ということだ。発電収益が十分に出ていれば節税どころか納税が増える。節税効果が大きい=その発電所の収益性が低い、という読み方もできる。「節税」を投資の主目的にするのは、本末転倒であると理解してほしい。いわゆる節税を前面に押し出した、先方から買いませんか?と勧誘される系の不動産投資のようなものと言えば良いだろうか。
節税を前面に出した営業トークには特に慎重になること。「節税効果◯◯万円!」という言葉は、収益性の低さを別の言葉で包んでいる可能性が高い。
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■ 出力制御リスク——東京電力管内でも始まった現実
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かつては九州・中国・四国電力管内のみの問題とされていた出力制御(いわゆる「発電停止指令」)が、東京電力管内でも本格的に実施され始めた。これは再生可能エネルギーの供給が需要を上回る場面で、電力会社が発電設備に出力を絞るよう指示するものだ。
しかも今後この問題は悪化する方向にある。
・原子力発電所の再稼働が相次いでおり、ベースロード電源が着実に増加している
・需要家企業による自家消費型太陽光の急速な普及により、日中の電力消費量が着実に減少している
・ペロブスカイト太陽電池への補助金が本格的に投下される見込みであり、新しい設備が今後さらに大量に系統に連係されていく
・大手企業はすでに大半が太陽光を導入済みで、新築建物への搭載義務化も進行中。今後竣工する建物はほぼ軒並みパネルを搭載してくる
つまり「供給は増え、需要(特に日中)は減る」という構造が今後も加速していく。出力制御の頻度が上がれば、それはそのまま年間発電量・年間収益の直接的な低下に直結する。「低圧発電所だから制御対象外」という認識は過去のものになりつつある。管轄電力会社の制御方針と当該発電所の制御区分を必ず確認してほしい。
また、出力制御には「無補償制御」と「補償あり制御」のルールが複雑に絡み合っており、認定年度によって適用ルールが異なる。購入検討時には制御対象・補償の有無・過去の制御実績を売主から入手するだけでなく、自分で情報を収集し精査することを強く推奨する。
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■ 金利上昇——かつての「1%未満」はもう過去の話
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太陽光発電投資ブームを支えた一つの柱が「超低金利ローン」だった。一部では1%未満という超低金利で長期融資を受け、売電収入との利ざやで確実に儲けるといった話も聞いたことがあるが——その前提が大きく崩れ始めている。
日銀による金融政策の正常化が進み、太陽光向け融資金利も上昇傾向にある。一部信販系企業では新規融資金利が3%を超えているという話もある。既存の変動金利ローンを抱えている方は今後の返済額増加リスクを今すぐ再試算すべきだ。
また中古物件を購入する際に新規ローンを組む場合、現在の金利前提でのシミュレーションが必須となる。「以前の低金利時代と同じ感覚」で利回り計算をしていると、実際の手残りが想定を大幅に下回ることになりかねない。特に融資期間15〜20年という長期ローンを組む場合、その間にさらに金利が上昇するシナリオも想定しておくべきだ。
太陽光発電所向け融資に積極的だった地方銀行や信用金庫の姿勢も変化しつつある。審査が厳しくなり、必要とされる自己資金比率が上がっているケースも見られる。以前と同じ感覚で「フルローンで回す」という前提が通用しない状況になってきていることも頭に入れておいてほしい。
よって、「金融資産が潤沢にあるような高属性の人物が信販系でフルローンを組む」あるいは「本業が順調であり金融機関がお金を借りてくださいとお願いしてくるような企業」でない限り、このブログのタイトルとなった普通未満のサラリーマンが「一基でもフルローンで老後資金に」することは残念ながら不可能な時代になってしまっている。
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■ パワーコンディショナ問題——メーカー撤退・三相という「時限爆弾」
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中古発電所のリスクの中で、特に見落とされやすいのがパワーコンディショナ(パワコン)に関する問題だ。パワコンは発電所の心臓部であり、故障した場合は即座に発電停止となる。しかもその交換・修繕には数十万円〜百万円超のコストがかかることがある。
【メーカーの日本市場における活動状況を確認せよ】
太陽光発電が急拡大した2010年代、国内外のさまざまなメーカーのパワコンが採用された。しかし現在、日本市場から事実上撤退したり、サポート窓口が縮小したりしているメーカーが存在する。
現時点で低圧発電所向けパワコンとして比較的安心感があるのは、オムロン系やファーウェイといったメーカーだろうか。国内でのサポート窓口も維持されており、交換機器の調達もしやすい状況が続いているという印象だ。
一方で気になるのがSolarEdge(ソーラーエッジ)やSMA(エスエムエー)だ。どちらも海外では実績豊富なメーカーだが、日本市場での活動が縮小または実質撤退しているという情報がある。窓口は残っていても、部品の国内在庫が薄かったり、対応に時間がかかったりするケースが報告されている。搭載されている物件を購入する際は、修繕・交換コストと対応可能な業者の確認を慎重に行ってほしい。
また近年、低圧発電所に採用するケースが増えているSUNGROW(サングロウ)についても触れておく。中国系メーカーとしては最大手クラスであり、マニュアル上の性能も良く私も採用したいメーカーだった。長期的な国内サポート体制がどこまで安定して維持されるかは、引き続き注視が必要だ。
発電所を内見・調査する際は、必ずパワコンのメーカー・型番・製造年を記録し、そのメーカーの現在の国内サポート状況、部品供給の見通し、交換時のコスト感を事前に調査しておくこと。
【三相パワコンという「厄介な選択」】
低圧発電所のパワコンには、単相タイプと三相タイプがある。通常の低圧住宅・低圧事業所への系統連係は単相3線式が一般的であり、単相パワコンであれば交換可能な製品の選択肢も多い。
しかし一部の発電所では、設計や系統の都合から三相パワコンが採用されているケースがある。この三相パワコンが曲者だ。まず交換可能な製品の選択肢が限られている。単相に比べて対応メーカー・対応機種の絶対数が少なく、特定メーカーのサポートが終了した場合の代替調達が非常に困難になる可能性がある。
さらに大きな問題が固定費だ。三相電力の引込みがある発電所は、電力会社への基本料金が単相とは異なり、低圧三相の場合は最低料金や基本料金が相対的に高く設定されている。発電量が少ない冬季・雨天続きの月でも固定的な電気料金が発生するため、年間を通じた固定費の押し上げ要因となる。低圧発電所であっても三相構成の場合はこのコストを見落とさないようにしてほしい。
購入候補の発電所が三相パワコンを採用している場合は、現在の型番から交換可能な機種・対応業者・交換コストのめどを事前に調べ、固定費も含めた収支再計算を行ってから判断することを強く推奨する。
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■ 保険問題——低圧発電所では「ほぼ無意味」になりつつある現実
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太陽光発電所の保険をめぐる状況は、ここ数年で劇的に悪化した。飛来・盗難リスクの保険適用除外化と保険料の高騰が重なり、低圧発電所(出力50kW未満)においては一般的な動産保険・設備総合保険が「ほぼ無意味」な状態になってきている。
多くのプランで免責金額が100万円に設定されており、部分損害ではほとんど補償を受けられない。低圧発電所の設備被害は全損に至らないことが多く、実質的に自己負担となるケースが続出している。また飛来・盗難を適用外としたプランを採用しても保険料は暴騰したままという最悪の状況になっている。
ではなぜ加入するのか。答えは「全損による事業強制撤退の防止」だ。パネル全体やパワコンが完全に失われるような全損事故の際に、最低限の撤退コストと再建費用をカバーするための「最後の保険」として機能する。ただし、それ以下の損害には期待しないほうが現実的だ。
購入前に現在の保険料見積もりを必ず取り、どの程度の補償内容でいくらかかるのかを費用として収支計算に組み込んでほしい。「前のオーナーが加入していた保険をそのまま引き継げる」と思っていると、条件変更・新規加入で大幅に保険料が上がって驚くことになる。
この問題については従来の保険プランではなく、以前書いた補償に加入する一択ではないかと思う。
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■ ケーブル盗難——どんな対策をしても「祈るしかない」のが現実
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太陽光発電所への銅線ケーブル盗難は、いまや日本全国で組織的に行われている深刻な犯罪だ。特に直流側の太いケーブルが長距離にわたって地上や架台沿いに露出している発電所は、犯行グループにとって格好のターゲットとなっている。度重なる被害を受けた発電所が「また狙われる」というパターンは珍しくなく、一度ターゲットにされた発電所は繰り返し被害を受けやすいという実態がある。
防犯カメラ、センサーライト、フェンス強化、警備会社との契約——あらゆる対策を講じても、犯行グループは下見を重ねた上で手慣れた手口で実行してくる。対策が「抑止力」にはなるが、「完全防止策」にはなりえない。抑止力を向上させることは出来ても、物理的に人間を排除出来ないため、最終的には「祈るしかない」というのが偽らざる現実だ。
・ケーブルの地上露出区間が長くないか(特に直流側の太径ケーブル)
・過去に盗難被害を受けた履歴があるか(繰り返し被害のターゲットになりやすい)
・周辺地域に同様の被害を受けた発電所が集中していないか
・架台下・フェンス際にケーブルが無防備に敷設されていないか
・既存のセキュリティ設備(カメラ・センサー・フェンス)の状況と維持費用
繰り返すが、ケーブル盗難については「ゼロにする方法」が存在しない。窃盗を行う人間がコストを度外視して犯行に及ぶならばあらゆる対策は無効化されてしまう。この事実を受け入れた上で、被害を受けた場合のダウンタイムと修繕コストを想定した上で投資判断をしてほしい。
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■ 立地・周辺環境——「ノーメンテOK」な土地かどうかを見極める
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ここで注意してほしいのは、「ノーメンテ」とは「草刈り不要」という意味ではない。草刈りは委託すれば解決できる問題だ。そうではなく、隣地からの竹の侵入、法面の崩落、土砂流入のリスクがない土地かどうか、という立地リスクの視点が重要なのだ。
竹は成長が非常に速く、隣地から数年のうちに発電所内に侵入してパネルや架台を傷める。一度根が張ると除去作業は大掛かりになり、コストも馬鹿にならない。また法面(のりめん)が不安定な山間部の発電所は、梅雨・台風シーズンに崩落・土砂流入リスクを常に抱える。これらは「管理を頑張ること」で解決できる問題ではなく、根本的な立地リスクだ。どれだけ草刈りをきっちりやっても、竹の侵入や法面崩落は防げない。
また自分でメンテナンスを行うつもりであれば、自宅からの距離も重要な判断軸となる。往復2〜3時間かかる発電所に定期的な巡回をしようとすれば、交通費と時間のコストが毎月積み上がる。遠方であれば外部委託費用を収支に必ず追加しなければならない。「近くて管理しやすい発電所」は、そうでない物件に比べて実質的なコストが低く、リスク対応力も高い。
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■ FIT終了後の可能性——唯一の「隠れたメリット」、ただし過信は禁物
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ここまで悪材料ばかりを並べてきたが、中古発電所に一つだけ見落とされがちなメリットがある。それは「すでに送電網に連係済みである」という事実だ。
FIT・FIPが終了した後の太陽光発電所の収益モデルは大きく分けて二つある。一つは自家消費型(企業のオンサイト電力)、もう一つは卒FIT後の相対売電(PPAや市場連動型の契約)だ。今後、自家消費前提の新規案件が急増する中で、送電線の連係容量はますます逼迫していく。特に変電所への接続ルートが限られる地方の送電網では、新規連係の申請から実際の工事まで数年かかるケースも珍しくなくなっている。
既存の連係権(グリッドへの接続権)は、新規参入者には簡単に得られないものになりつつある。系統連係のハードルが高まった環境下では、既連係の発電所はそれ自体に希少価値を持つ可能性がある。FIT終了後に電力小売事業者や需要家企業と相対売電契約を結ぶためのカードとして機能しうる——そういう見方ができる。
ただしこれはあくまで「可能性」だ。FIT後の買取価格・買取先が現時点で確定しているわけではなく、収益として確実に織り込むのは時期尚早だろう。「不透明な上振れ要因」として頭の片隅に置く程度にとどめ、あくまでFIT期間中のキャッシュフローだけで採算が取れる物件かどうかを基準に判断すべきだ。FIT後の売電収入をあてにして現時点の高値購入を正当化するのは危険だ。
なお、土地を借りている発電所(地上権・賃借権設定の物件)の場合、FIT終了後の事業継続や発電所の売却に際して地主との交渉が発生する。地代の改定要求、契約更新の可否、撤去・原状回復義務——これらは購入前に契約書を読み込んで確認しておくことが不可欠だ。「知らなかった」では済まされない問題が出てくる可能性がある。
FIT後の売電収入という「上振れ可能性」を、土地賃貸地上権発電所に限定して探すのか、それとも不透明な要素として切り捨てて土地所有の発電所に絞るのか——この判断軸を自分の中で明確にしてから物件探しに臨んでほしい。「知らなかった」という後悔は、事前の情報収集で防ぐことができる。
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■ まとめ:購入前に確認すべき完全チェックリスト
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ここまで読んでくれた方のために、最終的なチェックリストとしてまとめておく。これだけの項目を一つひとつ確認することは手間がかかるが、それだけ中古太陽光発電所への投資は複雑なリスクを抱えているということだ。
✓ FIT残年数と残期間中の累計収益総額 vs 実質取得総額(諸費用込み)の比較
✓ FIT単価と廃棄費用積立金の係数、控除後の実質年間手取り額の再計算
✓ 管轄電力会社の出力制御方針と当該発電所の制御対象区分、過去の制御実績
✓ 現在の融資金利前提での収支シミュレーション(変動金利の場合は金利上昇シナリオも含む)
✓ 償却資産税の直近実績額と、購入後の評価額・税額の見込み
✓ 土地の固定資産税(土地所有の場合)または地代・賃料の条件(賃貸の場合)
✓ 節税案内を受けた場合は、翌年以降の税負担増と収益性の本質を精査すること
✓ パワコンのメーカー・型番・製造年と、そのメーカーの現在の国内サポート状況
✓ 単相か三相かの確認。三相の場合は交換可能機種の選択肢と電気料金の固定費を確認
✓ 保険プランの内容・免責金額・保険料の見積もり(費用として計上)
✓ ケーブルの地上露出状況・過去の盗難被害履歴・防犯設備の状況
✓ 竹・法面崩落・隣地リスクなど立地由来の不可逆的なリスク項目
✓ 自宅からの距離とメンテコスト(自主管理の場合の交通費も含む)
✓ 土地の権利形態(所有 or 賃借・地上権)とFIT終了後の契約継続・撤退条件
✓ FIT後の売電可能性——「可能性として」頭に入れつつ、収益として確実視しないこと
太陽光発電への投資は「買ったら放置でOK」という時代が終わりつつある。かつての高単価FIT案件ですら、上記のリスクが複数重なれば収益が想定を大きく下回ることがある。購入を検討しているなら、売り主・仲介業者の説明を鵜呑みにせず、一つ一つのリスク項目を自分の目で確認してほしい。
それだけのことをした上で、それでも買いたいと思える発電所であれば、きっと良い投資になるはずだ。
そして最後に——ケーブル盗難については、本当に、祈るしかない。
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