エネルギー政策の「二重基準」:原子力の聖域と再エネ・蓄電池の受難

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2026年1月、日本のエネルギー政策は歴史的な転換点という名の「迷走」を加速させています。東京新聞(2026年1月10日付)が報じた「原発新設・建て替えへの国民負担増」のニュースに敵になった内容を調べてみました。

一人の事業者として、また一人の市民として、この「歪んだ公正」の正体が気になります。安定電源という錦の御旗のもと、原子力が受けている「聖域」級の保護と、一方で理想的な地域分散電源であるはずの系統蓄電池(BESS)が蔑ろにされ、太陽光発電に関しては「徹底した自己責任」となっている落差。

ここからは、専門的な視点と信頼できる出典を交え、日本のエネルギー政策が抱える矛盾を、解説します。

 

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エネルギー政策の「二重基準」:原子力の聖域と再エネ・蓄電池の受難

1. 2026年1月の衝撃:OCCTO新融資制度とRABモデルの正体

まず、足元で起きている事態を正確に把握しましょう。2026年1月、経済産業省と電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、原発建設資金の融資・保証制度の具体的な設計を固めました。これらは一見、専門的で難解ですが、中身は驚くほど「私たちの財布」に直結しています。

OCCTO新融資制度とRABモデルの徹底比較

制度名 仕組みの正体 リスクの所在 消費者への影響
OCCTO新融資制度 国に近い機関(OCCTO)が原発建設に巨額融資。焦げ付いた際は全小売業者が補填。 国民全体(事業者が失敗しても国民が肩代わり) 倒産・計画断念の損失が電気代に上乗せされる。
RABモデル 建設中の資産(規制資産)に対して利益率を保証し、稼働前から費用回収を認める。 電力利用者(発電が始まる前から代金を支払う) 原発が完成する何十年も前から電気代が上がる。

OCCTOによる損失の「社会化」

通常、民間企業の投資は、その成否の責任を企業が負います。しかし、新設原発(次世代革新炉など)は一基あたり数兆円という、民間一社ではリスクが大きすぎる規模に膨れ上がっています。そこで導入されるのが「OCCTO融資制度」です。

もし事業が失敗し、融資が回収できなくなった場合、その損失は「すべての小売電気事業者」から徴収するお金で穴埋めされます。つまり、私たちがどこの新電力会社を選んでいようと、知らない間に電気代を通じて「原発の失敗」のツケを払わされる仕組みが完成したのです。

RABモデル:サービスを受ける前から代金を払う「前代未聞の制度」

通常、サービスや商品は「完成して提供されてから」代金を支払います。しかし、RAB(規制資産ベース)モデルはその常識を覆します。

「これから20年かけて原発を作ります」という段階から、まだ1円分の電気も作っていないのに「建設費」を今の電気代に上乗せして徴収できる制度です。もし20年後に技術的トラブルで完成しなかったとしても、私たちがすでに支払ったお金は戻ってきません。

 


2. 過去最高益の裏側:今の電気代は「本当に」適正か?

原子力再稼働や新設の論理として常に使われるのが「電気代の引き下げ」です。しかし、そもそも現在の電力価格の構造に「不自然な余裕」があるのではないか、という疑念を拭えません。

太陽光発電ムラ市場

大手電力10社の「空前の利益」

2024年度から2025年度にかけて、日本の大手電力会社の多くが過去最高益を記録しました。関西電力や中部電力、東北電力などは、燃料費調整制度の恩恵を受け、市民が物価高に喘ぐ中で巨額の利益を積み上げています。

  • 出典: ダイヤモンド・オンライン「大手電力8社が過去最高益」(2023年末実績から続くトレンド)

「値下げ」という名の国民感情コントロール

「原子力を使えば安くなる」という言説には、大きな落とし穴があります。現在の大手電力各社の利益率を見れば、「原子力を使わなくても、今の価格設定自体に相当な利益が乗せられている」ことは明白です。

今後、原発が稼働した際に数パーセントの「ポーズとしての値下げ」が行われるでしょう。しかし、それは私たちがRABモデルやOCCTO保証を通じて将来にわたって負担させられる「隠れたコスト」に比べれば、微々たるものである可能性が高いのです。

 


3. 系統蓄電池への「裏切り」:安すぎる上限価格と消えた差額の行方

原子力がこれほど手厚く保護され、新設への道が拓かれている一方で、同じく脱炭素の鍵であり、地域分散型電源の要である「系統用蓄電池(BESS)」には、耳を疑うような厳しい現実が突きつけられています。ここには、安定電源への期待とは真逆の「逆風」が吹いています。

安定電源への逆風?系統用蓄電池を襲う「7.21円の衝撃」

脱炭素の鍵であり、地域分散型電源の要である系統用蓄電池(BESS)には、耳を疑うような厳しい現実が突きつけられています。経済産業省から提示された案は、蓄電池事業者にとって死刑宣告に近いものでした。需給調整市場における上限価格が、驚くべき規模で引き下げられようとしています。

  • 現行: 19.51円/kW・30分
  • 変更案:7.21円/kW・30分

この約63%もの大幅引き下げ案に、業界では投資回収への懸念や事業継続への影響から激震が走っています。この引き下げは、市場外取引への移行による調整力確保の動きと、電気代高騰抑制が目的とされています。しかし、建設コストや人件費が高騰している中で、これほど低い価格キャップを嵌められては、事業者の予見性低下や新規投資の停滞を招くのは自明であり、段階的な実施や再検討を求める切実な声が上がっています。

「安すぎる上限」と「高い小売価格」のミステリー

ここで一つ、素朴な疑問が湧きませんか?

蓄電池には「7.21円」という厳しい上限を課し、コスト回収を極限まで制限する一方で、私たちが電力会社に支払う小売価格はどうでしょうか。

  • 現在の電力小売価格: 1kWhあたり約 31円〜40円

蓄電池は市場を安定させるいために安く買い叩かれ、消費者は高い電気代を払い続ける。この「差額」は一体どこへ消えているのでしょうか。蓄電池への投資を停滞させてまで守りたい「利益」の正体は何なのでしょうか。蓄電池事業者は「建設コスト増」に苦しみながら、安い上限価格で買い叩かれる一方で、消費者は高い電気代を払い続けているのです。

原子力には上限なし、蓄電池には足かせ

2025年度から2026年にかけて実施される「長期脱炭素電源オークション」でも、蓄電池の募集枠が絞られるだけでなく、応札できる「上限価格」がキロワットあたり数千円〜1万円程度の低い水準に抑え込まれています。

原子力に関しては、建設コストが当初の2倍、3倍に膨らんでも「RABモデル」で全額回収を認めようとする一方で、蓄電池には「国民負担の抑制」を理由に厳しい価格キャップを課す。この「逆行」こそが、今のエネルギー政策の最大級の矛盾です。蓄電池こそが、災害に強く、地域で電力を完結させる「真の安定」をもたらす理想的な装置であるにもかかわらず、その芽が摘まれているのです。

 


4. 廃炉と核のごみ:10万年の「負の負債」を誰が計算したのか

原子力のコスト議論で常に欠落しているのが、人類の歴史を遥かに超える管理コストです。

解体方法すら決まっていない「どんぶり勘定」

原子力の廃炉費用(解体費用積立金)は、現在も徴収されています。しかし、高レベル放射能汚染エリアの解体は、世界的に見ても「これから技術を開発する」段階です。

  1. 方法の未確定: 具体的な廃炉手段が決まっていないのに、なぜ「コスト」が算出できるのでしょうか。
  2. 最終処分場の不在: 2026年現在も、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定は難航しています。

10万年の監視費用という「無限のコスト」

放射性廃棄物が無害化するまでには、約10万年の歳月が必要です。現在のコスト試算には、この「10万年間の管理・監視・セキュリティ費用」が、1kWhあたりの単価に正しく反映されていると言い切れるでしょうか。

 


5. 太陽光事業者が直面する「不条理な格差」

太陽光発電事業者には、2022年から「廃棄費用」の外部機関による強制天引き(源泉徴収的な積立)が課せられました。事業者が「逃げる」ことを前提とした、極めて厳しい管理体制です。

それならば、原子力に対しても同様の基準を適用すべきではないでしょうか。

  • 原子力版・強制天引き: 電力会社の売上から、解体費用と10万年の管理費用を、国ではなく第三者機関が「強制的に」抜き取り、会社の倒産リスクから隔離して管理する。
  • RABモデルの拒否: 建設リスクはあくまで民間企業が負い、失敗した際は株主が責任を取る。国民に損失を押し付けない。

今の政策は、原子力という特定の巨大産業を「国民の財布」を使って守る一方で、再エネや蓄電池には「市場の厳しさ」を強要するという、あまりにも不公平な構図になっています。


結びに代えて:客観的な公平性がもたらす未来

ここで改めて強調したいのは、私は決して「原子力発電」そのものを感情的に批判しているわけではないということです。

原子力には、低炭素性や安定供給能力といった、他にはないメリットがあることは認めざるを得ません。日本のエネルギー自給率を考える上で、燃料を輸入に頼っているとはいえ、有力な選択肢の一つであることは客観的な事実です。

しかし、その推進のために「特定の電源だけをルール外の聖域に置き、他の分散型電源(蓄電池や再エネ)にだけ厳しい市場原理とコストカット、そして強制的な積立を強いる」という現在の不透明なやり方に、一事業者として、また一市民として強い違和感を抱いているのです。

  • 蓄電池に「7.21円」の上限を課すなら、原発にも「建設費と廃炉費の上限」を設けるべきではないか。
  • 太陽光から廃棄費用を強制徴収するなら、原子力からも廃炉積立金と10万年の管理費を透明な形で強制徴収すべきではないか。
  • 事業リスクは、特定の電源に偏ることなく、公平に分配されるべきではないか。

今、私たちが求めているのは、特定のエネルギーの是非を問うことではありません。「メガソーラーという名前だけで叩のではなく、事業者がルールを順守しているのかを考える」ということと同様に「原子力というだけで全肯定すべきではない 不透明な部分にメスを入れるべきである」といった単純な話でありメディアに取り上げられる言葉に踊らされないようにしっかり考える、ただそれだけの話です。

2026年の私たちは、大きな選択の渦中にいます。この「推進」が、一部の利益を守るための延命策なのか、それとも真に国民の未来を見据えた決断なのか。その答えを出すための「透明な議論」こそが、今最も必要とされています。


主要参照ソース一覧

  1. 東京新聞: 「原発新設・建て替えに公的融資、電気代上乗せも」(2026年1月10日)
  2. 経済産業省・電力広域的運営推進機関(OCCTO): * 第50回 制度設計専門会合 資料
    • 調整力確保の在り方に関する検討会 配布資料(蓄電池上限価格改定案:19.51円から7.21円への変更案)
  3. ダイヤモンド・オンライン: 「大手電力、燃料安と価格転嫁で過去最高益」(2024-2025年実績)
  4. FoE Japan: 「原発新設への国民負担を強いる新制度案への批判声明」
  5. エネハブ: 「系統用蓄電池市場の激震:上限価格引き下げの影響分析」
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