植物由来タンパク質を製造するプラントプラス・フーズ(PlantPlus Foods)は、米アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)と、ブラジルのマルフリグ(Marfrig)という2つの巨大食品加工会社が2020年に立ち上げた多国籍合弁事業だ。そのプラントプラス・フーズは1月19日、カナダのヴィーガン食品製造企業ソル・クイジーン(Sol Cuisine)を、およそ1億ドルで正式買収した。
プラントプラス・フーズは、2カ月前の2021年11月にも、「Hilarys」というブランド名で植物由来食品を展開するドリンク・イート・ウェル(Drink Eat Well)を買収したばかりだった。
プラントプラス・フーズのジョン・ピント最高経営責任者(CEO)は、2社の買収によって、南米と北米における「地盤強化」を積極的に目指す同社の動きに拍車がかかる、と話す。ピントはコカ・コーラの元幹部で、20年を超える経歴を持つ消費財業界のベテランだ。
「多国籍企業として産声を上げた当社は、アグレッシブに拡大していきたいと考えている」。ピントは先ごろ、Zoomでのインタビューでそう話し、マルフリグが南米で持つ植物由来代替肉分野における経営力とネットワークが、ソル・クイジーンを現地市場に投入する上でも役に立つだろうと述べた。
ピッチブックのデータによると、ソル・クイジーンの2021年第3四半期の売上総利益は450万ドルに上った。また、前期売上は前年同期比で55.88%増だった。
戦略的リソース
ソル・クイジーンは1980年に、カナダ・トロント地域のベジタリアン・レストラン向けに高級豆腐を納入する企業として誕生。以降、代替タンパク質の大手メーカーに成長し、GMO(遺伝子組み換え作物)不使用の植物由来バーガーや前菜の製造にも手を広げてきた。
同社の創業者兼社長を務めるDror Balshineは、プラントプラス・フーズに買収されたことについて、ソル・クイジーンが今後も、人々の健康と地球環境にプラスの影響を与えていくのに役立つと確信している。
Balshineは声明で、「プラントプラス・フーズと手を結んだことで当社は、私たちが『ソル・メイト』と呼ぶコミュニティの拡大と革新を継続し、おいしさを重視した当社の製品を拡大していくことも可能となる戦略的リソースを獲得した。こうした戦略的リソースには、業界最高の品質を誇る原材料や経営支援、研究開発などが含まれている」と述べた。
ソル・クイジーンの取締役会長マイク・ファータは、ヘンプ食品企業マニトバ・ハーベストの創業者だ。同社を売却した後、現在は消費財業界を専門にした戦略的アドバイザーで、投資家でもある。
ファータは、ブルームバーグ・インテリジェンスの最新リポートの中で、プラントプラス・フーズがソル・クイジーンを買収したことにより、植物由来食品市場の成長が全般的に加速し、今後10年以内に市場価値は1620億ドルを超える可能性があるという考えを示した。
ファータは、筆者へのメールで次のように述べた。「私たちが熱心に取り組んできたことが、今回の新たな提携を通じて実現するのを目にすることができ、心から満足している。世界は、植物由来タンパク質をさらに受け入れる準備ができており、ソル・クイジーンはそれに応える態勢が十分にできている」
今後の展望とM&Aの可能性
ソル・クイジーンの研究開発部門は現在、新製品を開発中だ。その一方で、プラントプラス・フーズは引き続き、現在のポートフォリオを強化するための新たな投資機会を模索している。とくに、同社ブランドの地理的な展開範囲を広げられるチャンスを探している。プラントプラス・フーズの目標は、垂直統合を進め、いずれはエンドツーエンドの能力を獲得することだとピントは話す。
「当社に備わった競争上の優位性としては、ADMから原材料を調達し、完成した製品をマルフリグが市場に出荷するまでの全体的プロセスを通じてイノベーションを起こせる能力が挙げられる」とピントは話す。とはいえ、プラントプラス・フーズが目指しているのは、代替タンパク質業界における競争者ではなく、業界全体の成功を実現するイネーブラー(Enabler)になることだという。
「当社は、ポートフォリオ全体で、植物由来ソリューションを提供できる可能性がある」とピントは言う。
「こうしたポートフォリオの幅広さが、市場での大きな強みとなるだろう。今後も選択肢を検討していくつもりだ。そして、チャンスを逃さないようオープンな姿勢を維持していく」
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