ニュース報道にあった「無印良品(良品計画)」の新しい試み、「木を1本も切らない」太陽光発電。
ブランドイメージ通りのクリーンで素晴らしい宣言に聞こえますが、地方の現状を知る身としては、正直なところ「それ、本当に実現可能なの?」という違和感と、ある種の「都会的なエゴ」を感じずにはいられませんでした。
今回は、このニュースを見て感じた「耕作放棄地のリアル」と「環境配慮という名の綺麗事」について、少し掘り下げて書いてみたいと思います。
【無印良品】「木を1本も切らない」太陽光発電への違和感。耕作放棄地のリアルと都市のエゴ
本日、無印良品を展開する良品計画が、再エネ事業会社「MUJI ENERGY」を設立したというニュースを目にしました。
注目すべきはその公約。 「発電候補地には必ず足を運び、木は1本も切らないという厳しい基準を課す」 そして、「1年で小規模太陽光を200カ所作る」とのこと。
一見、拍手喝采の素晴らしい取り組みです。しかし、地方の農地や山林の近くに住む私からすると、どうしても首を傾げてしまう点が2つありました。
1. 「木が生えていない耕作放棄地」なんて、そんなにあるの?
まず引っかかったのが、「木を切らない」=「環境に優しい」という単純な図式と、そのターゲットとなる土地の現実とのギャップです。
私の近所にも、書類上は「遊休農地」や「耕作放棄地」として扱われている土地がたくさんあります。しかし、その実態はどうでしょうか。 元農地であれば、半年で草むらになります。条件次第では数年でも、直径10~20cm程度の太さの立派な木が何本も生い茂り、もはや「小さな森」と化しています。
地方の現場感覚で言わせてもらえば、「木が1本も生えていない綺麗な耕作放棄地」なんて、放棄されてから数年以内の、まだ条件の良い土地に限られます。
そもそも、耕作放棄地の条件にすら当てはまらないのではと疑わしく思ってしまいます。
- 木が生えている土地 → 「木を切らない」基準によりNG
- 木が生えていない土地 → まだ農地として復帰できる可能性があり、ソーラーにするには惜しい、あるいは地主が手放さない
この狭間で、「年間200カ所」もの適地を、本当に「木を1本も切らず」に見つけ出せるのでしょうか? もしそれが見つかるとすれば、それは「耕作放棄地」という名前の、単なる「管理された空き地」に近いものではないかと思ってしまいます。
地方のとしては、木々が生え、農地としての管理も復旧も出来ないような土地こそ、太陽光発電で生かしてくれた方が助かるということが本音です。単純に伐採費用というコスト問題を回避するため、体の良いキャッチフレーズを貼り付けただけとしか思えません。
2. コンクリートの街で暮らしながら叫ぶ「自然保護」のエゴ
もう一つ、どうしても拭えないモヤモヤがあります。それは、エネルギーを使う側(都市部)と、作る側(地方)の断絶です。
私たちは普段、自然を切り開き、山を削り、コンクリートで舗装された快適な街に住んでいます。エアコンの効いた部屋で、スマホを充電し、夜は明るい照明の下で過ごす。その生活基盤そのものが、かつて行われた「自然破壊」の上に成り立っています。
それなのに、自分たちの生活圏から遠く離れた場所でエネルギーを作る段になると、急に「木を切るな」「景観を守れ」と厳しい基準を突きつける。
これって、あまりにも「エゴ(身勝手)」ではないでしょうか。
地方の地主にとってみれば、先祖代々の土地が荒れ果て、「負動産」となっていくのを見るのは辛いものです。
「木を切ってでも、太陽光パネルを置いて収益化し、土地を有効活用したい」 そう願う地主に対し、「環境意識の高い都市部の消費者」が、「いや、木を切るのは無印のブランドイメージに合わないからダメです」と言う構図に見えてしまうのです。
3. 「綺麗事」を超えた先にある解決策とは
もちろん、無秩序なメガソーラー開発による土砂崩れや環境破壊は絶対に防ぐべきです。その点において、無印良品の「厳しい基準」は評価されるべき姿勢でしょう。
しかし、「木を1本も切らない」というキャッチーな言葉が、単なるポーズやプロモーションで終わってしまわないか、懸念が残ります。
本当に必要なのは、「木があるからダメ」と切り捨てることではなく、「荒れ果てて木が生えてしまった元農地」を「どうするのか」という視点ではないでしょうか。
時には適切に木を伐採し、整地し、太陽光発電として再利用することで、荒廃した土地が再び価値を生む――それもまた、立派な「環境との共生」だと私は思います。
まとめ:理想と現実のバランス
無印良品の挑戦は、企業の環境責任として非常に野心的なものです。 ただ、その「理想」が、地方の「現実」と乖離していないか。 そして、私たち消費者が、自分たちの生活を棚に上げて「綺麗なエネルギー」だけを求めていないか。
今回のニュースは、そんな「環境意識の裏側にある矛盾」を、改めて突きつけられたような気がしました。
皆さんは、この「木を1本も切らない太陽光発電」、どう感じますか?
毎日楽しみにしている会社様のブログを見て知った内容です。
思わず取り上げずにはいられませんでした。
そもそも直径20cmまで育った木が乱立している状態でも、私の近所の土地は耕作放棄地ですらありません。どんだけ基準が緩い地域なんでしょうか?
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