和歌山県紀の川市で発生した「軽トラ全焼」のニュースは、農作業&発電事業者として衝撃的なものでした。
メンテナンスを自分でする方なら「マフラーがそんなに熱くなるのか?」と疑問に思うかもしれませんが、実は車の底面には焚き火の炎に匹敵するほどの「超高温エリア」が隠れています。
今回は、なぜマフラーの熱で火がつくのか、そして「停車中のリスク」について調べてみました。
1. なぜマフラーで火がつく?驚きの「超高温」メカニズム
「エンジンから離れたマフラーが、そんなに熱くなるの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。
結論から言うと、排気システムの一部は、優に600度〜800度を超えることがあります。
| パーツ名 | 役割 | 通常時の温度 |
| エンジン出口(エキマニ) | 排気ガスの放出直後 | 約800℃以上 |
| 触媒(コンバーター) | 排気ガスを浄化する | 約600℃〜800℃ |
| マフラー(消音器) | 音を小さくする | 約100℃〜300℃ |
| テールパイプ | 排気口の先端 | 約80℃〜150℃ |
JAFや消防署の実験データによると、枯れ草の引火温度は約200度〜300度。つまり、排気口の先端こそ低めですが、車体中央付近の触媒部分は、枯れ草をいつ燃やしてもおかしくない熱源なのです。
2. 「停車」が火災のリスクを飛躍的に高める理由
ここで疑問が浮かびます。「走っていれば燃えないのか?」「なぜ停車すると危ないのか?」という点です。実は、「停車」こそが発火の最大のトリガーになります。
- 冷却風(走行風)の消失走行中は常に前方から風が入り、エンジンルームやマフラー周辺の熱を逃がしています。しかし、停車するとこの「空冷」が止まり、熱がその場に滞留します。
- 熱の蓄積(オーブン効果)停車してマフラーが枯れ草に密着すると、熱が逃げ場を失い、草をじわじわと加熱し続けます。走行中なら一瞬触れるだけだった草も、停車中は「焼き続けられる」状態になり、数分足らずで発火点に達します。
- 「押し固める作業」の落とし穴今回の軽トラのケースでは、単なる停車以上に「草を押しつぶす」ことで、マフラーと草の間に隙間が完全になくなり、熱がダイレクトに伝わる「断熱・蓄熱状態」を作り出してしまいました。
3. DIYで知ったエンジン周りの「過酷な温度」
以前フォークリフトのメンテナンスをしていた際に、エンジン回りの温度を調べたことがあります。
エンジンからマフラーに繋がるエキゾーストパイプのサビが酷く、サビ落とし、サビ転換剤や耐熱スプレーで手直ししようと調べていたのですが、結局「内側まで錆びているならオーバーホールが必要」という結論に至り、見える範囲で浮き上がった錆を軽く落とすに留めました。
その際、耐熱塗料を選ぶために温度を調べたのですが、「耐熱600度」のスプレーでは、エンジン直後のエキマニ付近には力不足な場合があるということです。高負荷がかかる作業中の熱源が、乾燥した枯れ草に密着すればどうなるか……。今回の火災は、決して他人事ではない「物理的な必然」だったと言えます。
結局マフラーだけ耐熱スプレーで塗装しておきました。
4. 太陽光発電所沿いの道や、冬の農道は危険?
太陽光発電所沿いの道。
冬場は枯れ草が伸びている光景を見かけませんか? 軽トラを停車させて、ちょっと発電所を見てこようと目を離したすきに、軽トラから煙が上がっているですけど!
なんてことが起きたら最悪です。
- 引火の可能性は「大」: 発電所周辺は日当たりが良く、冬場は草がカラカラに乾いています。道幅が狭く、草の上に乗り上げる形で停車すれば、数十秒〜数分でマフラーの熱が草に伝わり、出火する恐れがあります。
- 甚大な被害: 発電所沿いで火災が起きれば、自分の車だけでなく、発電所自体や隣接する場所へ延焼してしまうリスクがあります。
冬の枯れ草は水分がゼロに近く、天然の燃料です。走行中でも、長い草がマフラーや回転部に巻き付いた場合、走りながら発火するケースすらあります。
万が一レベルで考えると、発電所での作業が終わり離れるときに5分ぐらいアイドリングしてから出発した。実は枯草に引火していたら・・・怖いですね。
5. 火災を防ぐための3つの鉄則
- 枯れ草の上には絶対に長時間停車しない「ちょっと休憩」「荷下ろし」のつもりが、足元の草を熱し続けているかもしれません。
- 車体下部を定期的に確認する草むらを走行した後は、マフラー付近に草が引っかかっていないかチェックしてください。
6. 出典・参考資料
- JAF(日本自動車連盟): 「ユーザーテスト:車両火災(枯草への停車)」におけるマフラー温度と発火実験データ
- 東京消防庁: 広報テーマ「車両火災を防ごう」内の枯れ草による火災事例
- 政府広報オンライン: 「車両火災を防ぐための日常点検と注意点」
- 朝日新聞デジタル / NHKニュース: 2026年2月16日 和歌山県紀の川市の車両火災報道
まとめ:車は「巨大な熱源」であることを忘れずに
軽トラやフォークリフトは作業の強い味方ですが、その下には常に高温の熱源を抱えています。特に冬の乾いた風が吹く日は、小さな火種があっという間に燃え広がり、車両だけでなく土地全体を焼き尽くしてしまいます。
「いつもの道だから」「少しの時間だから」という油断を捨て、足元の状況に常に気を配ることが、大切な愛車と現場を守ることにつながります。
今回のニュースは例外中の例外かと思いますが、世の中には運悪く、万が一、を引き当てる可能性も否定できません。
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