太陽光発電所の土地、評価額は下がるのか 見落とされがちな「地の条件」

(カテゴリ: 申告 手続き 税金)

太陽光発電所の用地を取得したとき、あるいはすでに所有している土地の評価額を見直したいと思ったとき、「この土地の状態って、ちゃんと評価に反映されているんだろうか」と感じる人は少なくない。傾斜があって、法面があって、隣が田んぼで、竹林がせり出してきて、水路沿いで排水が心配で、境界線が斜面の上にある——そんな土地は、いわゆる「更地同然」とは程遠い。では、こうした要素は固定資産税の評価額にきちんと反映されているのだろうか。

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土地の評価額はどうやって決まっているか

固定資産税の課税標準となる評価額は、市区町村が3年に1度の評価替えのタイミングで算定する。固定資産税における「価格」とは「適正な時価」とされており(地方税法第341条第5号)、市町村長は総務大臣が定める固定資産評価基準に従って価格を決定しなければならない(地方税法第403条第1項)。基本的には「路線価方式」か「標準地比準方式」が使われ、地目(畑・山林・雑種地など)と立地条件をもとに計算される。

ただし、この計算に「個別の土地の不利な要素」がどこまで反映されているかは、必ずしも自明ではない。現地を一筆一筆丁寧に確認しているわけではなく、標準的な土地と比べたときの「補正率」をかけることで対応している部分が大きい。つまり、実際の土地の状態が補正に織り込まれていないケースは、珍しくない。


評価額が下がる可能性がある要素とは

いくつかの条件は、適切に申告・申請すれば評価額の減額につながる可能性がある。

傾斜・法面・段差については、固定資産評価基準の画地計算法において、傾斜地で土盛・削土または土止工事をしなければ通常の用途に供することが困難と認められる土地には「がけ地補正」が適用される。平坦で整形された土地と比べて利用に制約があると認められれば、補正率が適用されて評価額が下がることがある。ただし、太陽光発電用地の場合、「傾斜していてもパネルを設置できる」と判断されると補正が認められにくいケースもある。

不整形地補正については、土地の形状が歪であったり、法面の存在によって有効利用できない面積が生じている場合に適用される。不整形地補正率は0.60〜1.00の間で設定されており、最大で4割の減額が認められる可能性がある。「かげ地割合」(想定整形地に対する利用不能部分の割合)が大きいほど、補正率は低くなる。

隣地が田んぼや竹林の場合、直接的に自分の土地の評価を下げる根拠にはなりにくいが、「竹の地下茎が侵入している」「隣地からの湛水リスクがある」といった具体的な支障が確認できれば、利用制約の証拠として機能する可能性がある。

水路沿いという立地は、評価に影響する余地がある。自治体によっては、街路との間に水路が介在する土地は利便性に欠けるとして、水路介在に応じた比準割合を設けているところもある。なお、暗渠や橋梁が設置されている場合は補正の対象外とする扱いが一般的だ。

境界が法面になっている場合、実際に使える面積(有効宅地部分)が登記簿上の面積より小さくなる。この「有効面積の減少」は、申告することで評価に反映されることがある。特に法面の傾斜が急で、活用できない部分が明確に区分できる場合は交渉の余地がある。

隣地からの雨水侵入は、土地の物理的な不具合として評価担当者に説明できる材料になる。ただし「侵入している」という事実だけでは動かない場合も多く、排水計画の変更が必要になった記録や、修繕・対策費用の実績があると説得力が増す。


市役所に問い合わせると何が起きるか

評価額の見直しを市役所(固定資産税担当課)に申し出るルートとして、主に二つある。一つは、固定資産評価審査委員会への「審査申出」だ。これは地方税法第423条に基づき市区町村に設置された中立的な第三者機関への不服申し立て制度で、固定資産課税台帳に価格が登録された旨の公示日から、納税通知書の交付を受けた日後3か月以内に申し出ることができる。基準年度(3年に1度の評価替えの年度)の価格が原則として3年間据え置かれるため、申し出は基準年度の翌年以降では原則できないことに注意が必要だ。もう一つは随時受け付けている「現況調査の依頼」や「補正適用の相談」で、こちらは時期を問わず担当課に相談することが可能だ。

担当者が現地を確認し、実際に補正が適用されれば評価額が下がり、固定資産税・都市計画税の税額も下がる。


では、デメリットはないのか

ここが多くの人が見落としがちなポイントだ。

評価額が下がると税負担は軽くなる。しかしその一方で、評価額は様々な場面で「土地の価値」を示す数字として参照される。

売却・担保設定の場面では、固定資産税評価額はあくまでも参考値に過ぎず、実勢価格は別途査定されるため、直接的なデメリットにはなりにくい。しかし金融機関によっては、融資の際に固定資産評価額を担保評価の基礎の一つとして使う場合があり、評価額が大きく下がると借入可能額に影響することがある。

相続・贈与の場面では、倍率方式が使われる土地(路線価が設定されていない地域)では、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて相続税評価額を計算するため(国税庁「No.4606」)、固定資産税評価額の変動が相続税評価額に直接影響する。太陽光発電所の敷地は業務用であれば雑種地となるケースが多く、雑種地は原則として「近傍地比準方式」か「倍率方式」で相続税評価が行われる(財産評価基本通達第82条)。評価額が下がれば相続税の節税につながる可能性がある反面、評価の根拠が変わったことを把握していないと、申告計算を誤るリスクもある。


動く前に整理しておきたいこと

市役所への問い合わせ自体は、権利として認められている行為だ。「申し出ることで何か悪いことになる」と萎縮する必要はない。ただ、動く前にいくつか整理しておくと良い。

まず、現地の状況を写真と図面で記録しておくこと。法面の角度、水路の位置、竹の侵入状況、隣地からの雨水の流れ方——これらを客観的に示せる資料があると、担当者との話し合いが具体的になる。

次に、評価額が下がることで何かメリットを受けている制度や契約がないか確認すること。農地の評価を維持していることで受けている補助や、借入条件に評価額が絡んでいないかを事前に把握しておくことが重要だ。

そして、税理士や土地家屋調査士など、専門家のセカンドオピニオンを取ることも選択肢の一つだ。特に相続絡みの土地や、複数の地目が混在するケースでは、プロの視点が判断を整理してくれる。


土地の評価額というのは、登記簿の面積と同じように「決まったもの」として放置されがちだ。しかし実際には、現況と評価の間に乖離が生じていることは珍しくなく、それを是正する仕組みは存在する。難しいのは、「正しく評価を下げてもらう」ことと「別の問題を引き起こさない」ことのバランスを取ることだ。その意味では、一度立ち止まって全体像を把握してから動くのが、結局は一番の近道かもしれない。

参考・根拠出典

  • 総務省「固定資産評価のしくみについて(土地評価)」自治税務局資産評価室——固定資産税における価格の定義(地方税法第341条第5号)、評価基準の法的拘束力(同第403条第1項)、3年評価替えの原則(同第409条第1項)、審査申出制度(同第423条・第432条・第433条)の根拠を含む
  • 国税庁「財産評価基本通達」——雑種地の評価(第82条)、不整形地の評価(第20条)、倍率方式による土地の評価(No.4606)の根拠
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