ついに、この日が来てしまいました。2026年4月。
関東の太陽光発電事業者にとって「いつかは来る」と分かっていた、しかしどこかで「まだ先だろう」と高を括っていた東京電力エリアでの出力制御。
10時過ぎに届く「【購入実績お知らせサービス】データ更新のお知らせ」というメール。今までは「今月はいくら稼いでくれたかな?」というワクワク感とともに開いていたこのメールが、これほどまでに重く、そして「モヤモヤ」を抱かせるものになるとは思ってもみませんでした。
今回は、実際に出力制御が行われた後の「4月分明細」をじっくりと読み解きながら、多くの事業者が抱く「結局、いくら損をしたのか?」「代理制御の削減量はなぜ教えてくれないのか?」という疑問について、深掘りしていきたいと思います。
1. 届いた明細を二度見した「空白の真実」
まずは、今回私の手元に届いた2026年4月分の明細を見てみましょう。
- 購入電力量: 4,103 kWh
- 購入料金: 162,478 円
- 解体等積立金: 5,744 円
- 支払金額: 156,734 円
一見すると、いつもの明細です。しかし、どれだけ目を皿にして探しても、「出力制御によってカットされた電力量」や「それによる損失額」を記した項目はどこにもありません。
あるのは、実際に東電が買い取ってくれた「実績」のみ。
事業者が一番知りたいのは「本来なら4,500kWhくらい発電できたはずなのに、制御のせいで4,103kWhになったのか?」という『失われた可能性』の部分なのですが、そこは完全にブラックボックス。これでは、まるでレシートのない買い物をさせられているような気分になりますよね。
2. 監視装置と明細の「3.5%の謎」を検証する
ここで、日頃からデータを取っている人なら必ず突き当たる壁があります。それは「監視装置の数値と、東電の明細が一致しない」という問題です。
私の直近3ヶ月のデータを比較してみました。
| 算定月 | 監視装置 (kWh) | 東電明細 (kWh) | 乖離量 (kWh) | 乖離率 (%) |
| 2月 | 3,864 | 3,731 | 133 | 3.44% |
| 3月 | 3,171 | 3,060 | 111 | 3.50% |
| 4月 | 4,260 | 4,103 | 157 | 3.69% |
見ての通り、毎月約3.5%前後の誤差が出ています。4月は3.69%とわずかに増えていますが、これを見て「お、この0.19%分が出力制御の影響か?」と判断するのは早計です。
なぜ誤差が出るのか?
この3.5%という数字は、主に以下の要因による「経常的なロス」だと考えられます。
- パワコンの自己消費電力: パワコンが動くために、発電した電気の一部を使います。
- 送電ロス: ケーブルを通る際に熱として逃げる分。
- 計測タイミングのズレ: 監視装置と東電のスマートメーターでは、計測の締め時間が微妙に異なることがあります。
つまり、出力制御が行われても行われなくても、この3.5%程度の差は出続けるのです。なぜなら、出力制御(特にオンライン制御)がかかっている間は、パワコンそのものが電気を外に出さないため、監視装置も東電のメーターも「どちらもカウントを止めている」からです。
これでは、単純な比較で「制御された量」を算出するのは不可能です。
3. 「代理制御」という名のブラックボックス
今回の出力制御で最も厄介なのが、この「代理制御(オンライン代理制御)」という仕組みです。
今の制度では、出力制御に対応したパワコンを設置していない古い発電所や、設定が間に合っていない発電所の代わりに、制御可能な他の発電所が「多めに」止まることで、エリア全体のバランスを取っています。その「代わりに従った分」の損失を、後からみんなで清算しましょう……というのが代理制御。
しかし、ここが最大の問題です。
東電から「あなたは〇月〇日の〇時から〇時まで、これだけ削減しましたよ」という通知は来ません。明細にも載りません。
「事業者に知る権利はないのか?」
そう叫びたくなりますが、現状の回答は非常にシビアです。電力会社からすれば「実際に網に流れてきた電気に対してお金を払うのが契約。流れてこなかった電気(制御分)については、売買が発生していないので明細に載せる理由がない」というスタンスなのです。
代理制御の場合、自身のパワコンが止まっていなくても、エリア全体の売電単価が調整されたり、清算金という形で後から引かれたりします。しかし、その「元となる計算式」の具体的な変数が、個別の事業者には開示されない。これが「知る権利」が阻害されていると感じる正体です。
4. 私たちはどうやって「損失」を知ればいいのか
では、私たちは指をくわえて見ているしかないのでしょうか?
現状でできる「自己防衛」としての分析手法をいくつか提案します。
① 「快晴日のグラフ」を徹底チェック
監視装置のデイリーグラフを見てください。4月の抜けるような青空の日、昼間の11時〜13時あたりで、発電グラフが**「不自然な台形」になっていたり、「急激なドロップ(崖のような落ち込み)」**をしていませんか?
もしそうなら、それが「オンライン制御」の証拠です。本来ならきれいな山形になるはずの面積と、実際のグラフの面積の差。それがあなたの失った売電利益です。
② 近隣の「仲間」とデータを照合する
東電エリアの出力制御は、ある程度のブロック単位で行われます。同じ市町村や近隣エリアで太陽光をやっている仲間のデータと突き合わせ、「この日、うちも落ちてるけどそっちは?」と確認することで、個別の故障なのか、エリア全体の制御なのかが浮き彫りになります。
③ シミュレーションソフトの活用
日射量データから「本来発電できるはずだった量」を算出するソフトやサイトがあります。それと実績を比較するのが、最も理論的な「損失算出」になります。
5. 出力制御は「太陽光バブル」の終わりなのか
「せっかく投資したのに、勝手に止められるなんて詐欺だ」
そう思う気持ちも分かります。しかし、一歩引いて見てみると、これは日本のエネルギーインフラが「再エネ中心」にシフトするための避けて通れない過渡期であることも事実です。
電気が余りすぎれば、送電網全体が停電(ブラックアウト)する危険があります。それを防ぐための制御ですが、一方で「捨てるほど電気が余っている」なら、それを貯めるための「蓄電池」や、電気が安い時間に工場を動かすような「需要の創出」が急務です。
私たち事業者にできるのは、ただ嘆くことではありません。
「今、自分の発電所で何が起きているのか」をデータで把握し続け、それをブログやSNSで発信し、電力会社や国に対して「透明性の確保(せめて制御量の明細化)」を求めていくことではないでしょうか。
4月のデータが教えてくれたこと
今回、私の4月の売電実績は、前月(3月)に比べて1,000kWh以上も増加していました。
制御の影響で多少削られたとはいえ、やはり春の日差しは強力です。出力制御という「新しい壁」は現れましたが、それでも太陽光発電が価値ある資産であることに変わりはありません。
ただ、これからは「丸投げ」の時代は終わりました。
明細の数字だけを見て一喜一憂するのではなく、監視装置のグラフと睨めっこし、システムのわずかな違和感に気づける「目」を持つこと。それが、2026年以降の太陽光オーナーに求められる資質なのかもしれません
前回の突っ込み待ちのブログ記事なのですが、皆さんご存じだと思いますが、知ることができないというのが答えでした。
同規格の発電所でオンライン制御対応済み、未対応で代理制御が並んでおり、双方を比較できるといった特殊な条件が無いと厳しいんですね。
一応パワコンとしてはオンライン制御可能な機種だと思うので、専門業者に依頼を出来れば良いのですが、この辺りを取扱いしている会社はあるのでしょうか?
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