「本当は小売契約にすべきだった
制度設計ミスの犠牲になっているから」
発電事業者と新電力間で、受給の同意が得られている
FIT発電所の電気の契約である「特定卸契約」。
これにより被った新電力の苦境に対して、
内閣府の「再エネ規制総点検タスクフォース」
が出した救済策が、ネット界で大非難されています。
〇特定卸契約のルール:
・送配電事業者が発電事業者から。一旦、FIT価格で買い取り
・送配電事業者が新電力に卸売市場価格(=JEPX価格)で売り、
・JEPX価格<FIT価格の場合の損失を、交付金で補填
〇年末年始、JEPX価格が高騰して起きたこと:
・新電力は仕入額が大幅に上がって、出費大幅増
・送配電事業者は、仕入固定のまま販売額が上がってウハウハ
〇タスクフォースが唱える新電力に対する救済策:
・特定卸契約については、
新電力の支払う単価上限を、JEPX価格ではなくFIT価格とし、
差額を送配電事業者のウハウハ分で補填
〇ネット界での大批判内容:
・新電力はJEPX価格が安い時に恩恵を被っていたのに、
高くなったら救済とはあり得ない
それは特定卸売契約も同じなのに、特別扱いする意味がわからん
救済するかどうかはさておき、
特定卸売契約だけ、特別扱いする理由は明確に存在する
というのが私の考えです。
以下、その理由:
〇私が思う、特定卸売契約だけ救済措置をタスクフォースが唱える理由:
おそらくですが、これ、
「小売契約にすべきだったのに、
特定卸契約にしてしまった制度設計ミスが原因」
なので、
「正しい制度設計の場合の金額に、被害を留めないと気の毒」
ということだと思います。
もう少し細かく説明すると、
特定卸契約は、
電気の送り元である発電所と、電気の受取先である新電力間で
売買の合意が出来ているにも関わらず、
その間の発送を受け持つ、
送配電事業者による買取を強いている制度です。
この取引は、物販をイメージすると気付くのですが、
売り手から買い手に商品を送るのに、
運び手が売り手からいったん買い取って、
買い手に売る商流になっています。
クロネコヤマトが送り主から物を買った上で、
送り先に販売するって、違和感ありありですよね。
なので、本当は、小売契約:
・新電力が発電所の所有者から直接買う
・送配電会社は運び賃をもらう
にするのが筋だと思います。
この筋通りのルールだとすると、
新電力に着目したのお金の流れは以下のようになります。
JEPX価格<FIT価格の場合:
・新電力はFIT価格を発電所の所有者に払う
・FIT価格とJEPX価格の差分を、新電力は交付金で受け取る
⇒新電力はJEPX価格で電気を入手できる
JEPX価格≧FIT価格の場合:
・新電力はFIT価格を所有者に払う
・JEPX価格以下で買えているので、交付金は無
⇒新電力はFIT価格で電気を入手できる
つまり、
小売契約:
・新電力が発電所の所有者から直接買う
・送配電会社は運び賃をもらう
になっていれば、
新電力はFIT価格上限で電気を入手出来た
ことになります。
長くなってしまいましたが、
FIT特定卸だけ特別扱いして救おうとしているのは、
特定卸契約という、制度設計ミスの犠牲になっているから
だと思われます。
本当はタスクフォースがこの説明を
キチンとしないといけないと思うのですが、
説明しないのは、
制度設計ミスをやってしまった、どなたかに対する忖度、、
というのは、私の脳内妄想でしょうか、、?
最後に特定卸契約の制度設計ミスを、別の角度からも
端的に明確にしておきたいと思います。
JEPX価格<FIT価格 JEPX価格>FIT価格
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新電力 JEPX価格で買える JEPX価格で買わされる
(安く仕入れられる) (損失は青天井)
今後は200円上限?
送配電事業者 FIT価格で買わされるが JEPX価格とFIT価格の
JEPX価格との差分は 差分で丸儲け
交付金で補填され ただし、今後は丸儲け分は
プラマイゼロ 戻させられる動きで
プラマイゼロになる可能性有
上を見ればわかりますが、
・送配電事業者は、勝ちか引き分けしかない、最高にウハウハな立場。
今後法改正されても常に引き分けになるだけ。
・新電力は、JEPX価格が安ければ儲かりますが、
最大200円/kwhで買わされるリスクを抱えたまま。
<重要>「そもそも、特定のFIT発電所と握らなくても、
JEPX価格での購入は可能」
そう考えると、新電力にとって、現状の特定卸契約は、
金銭的には、リスクばかりで、リターンは皆無です。
契約しなくても買えるのに、わざわざ同額での購入を強いられるのって、
金銭的にはデメリットしかないですよね。
これ、私には制度設計ミスにしか見えません。。
早急に特定卸売契約という制度自体を廃して、
小売契約にすべきだというのが私の考えです。
参考になれば幸いです。
sun33さん
コメありがとうございます。
ご指摘は
「悪法も法律、だけどわかっていたことだよね」
論だと思います。
これについては、ポイントは2つに分かれると
考えています。
1、被った被害を救済するか
2、悪法をそのままにしておくか。
「1」は判断の分かれるところだと思いますが、
「2」は正さないという選択肢は無く、
特に今回のように影響が大きいものは、
優先度を上げて正すべき
というのが私の考えです。
一般論ですが、「安いヨ」には、必ず「条件」リスクは、付き物です。「株」でも必ず上がるもの「給与」も永遠に上がっていくものと言うのは神話だと思います。私には制度設計ミスにしても、状況が変われば当然マイナスにもなります。それは、わかっていた事です。私の仕事でも同じ苦情がありますが、お客様が判断される事ですから、それはお客様の選んだ選択です。