数年前、YouTubeで初めてそのプロトタイプを見た時、多くの人が「これ、本当に出るの?」と半信半疑だったのではないでしょうか。広島の小さなスタートアップ、KGモーターズが掲げた「1人乗り100万円のEV」という夢。それが今、本格的な量産と納品のフェーズに突入しています。
先日発表された出光興産との業務提携は、まさにその「夢」を「日常」へと引き寄せる大きな一歩でした。今回は、古参ファンの一人として、mibotが持つロマンと、普及に向けた現実的な課題について深く掘り下げてみたいと思います。
出光興産との提携で変わる「安心感」の解像度
2026年1月、出光興産との業務提携が報じられました。これにより、4月から東京都や広島県の「アポロステーション」の一部店舗で、mibotの購入サポートや点検整備が受けられるようになります。
新興メーカーの乗り物を買う際、最大の懸念は「どこで直すのか?」「納車はどうなるのか?」というアフターサービスでした。街のガソリンスタンドがその拠点になる。これは、単なる販売網の拡大以上に、ユーザーにとっての心理的ハードルを劇的に下げるパラダイムシフトと言えるでしょう。
「100万円」という価格と、立ちはだかる「軽自動車」の壁
mibotの価格は税込約110万円(2026年時点)。超小型モビリティとしては極めて挑戦的な設定ですが、一般層に目を向けると、そこには分厚い壁が存在します。
「100万円出すなら、中古の軽自動車でいいんじゃない?」
おそらく、ガジェット好き以外の層からは、必ずと言っていいほどこの声が上がるはずです。軽自動車なら4人乗れて、冷暖房も完備(mibotもクーラーはありますが)、高速道路も走れる。この圧倒的な「汎用性」の前に、1人乗りのmibotはどう戦うべきなのでしょうか。
ここで重要なのは、mibotを「車の代わり」ではなく「生活をアップデートするツール」として捉える視点です。車検不要(原付ミニカー登録)、家庭用100Vコンセントでの充電、圧倒的な取り回しの良さ。これらは、維持費を極限まで削ぎ落としたい層や、都心の狭い路地を移動する層にとっては、軽自動車にはない唯一無二の価値になります。
ロマンと実用性の共存、その正体
mibotの魅力は、その「可愛らしくもかっこいい」デザインにあります。どこかレトロで、それでいてSFチックな佇まいは、単なる移動手段を「移動するガジェット」へと昇華させています。
YouTubeを通じて開発プロセスを共有してきたことで、私たちは単なる「製品」ではなく、開発者の「思想」を一緒に追いかけてきました。この共感こそが、既存の自動車メーカーには作れなかった「ロマン」の正体です。乗っているだけでワクワクする、自分のライフスタイルを象徴するアイコンになる。この感覚は、実用スペックの比較だけでは測れないものです。
普及へのトリガー:自治体補助金の可能性
今後、さらに値上げが予想される中で、一般層への普及に欠かせないのが自治体による強力なバックアップです。国のCEV補助金はもちろんですが、例えばどこかの自治体が「実質半額」になるような大胆な補助金を打ち出せば、一気に注目度は跳ね上がるでしょう。
地方の過疎化に伴う公共交通機関の維持が難しくなる中で、mibotのような超小型EVは、高齢者の新しい足としても、ラストワンマイルの解決策としても、極めて高いポテンシャルを秘めています。「車社会のダウンサイジング」を自治体主導で進める実証実験。それが実現した時、mibotは本当の意味で街の風景を変えるはずです。
とはいえ、そもそも高齢者は車を運転するな、という論調は今後も強くなることが予想されるので難しいところです。
これに関する正直な思いとしては、急発進や追突防止といった最新の安全装備がある車限定で無ければ高齢者は運転できないようにする。とした方が理にかなっている。
しかし、現実問題として、そんな高額な車を購入できる高齢者は限られている。
ここで免許不要で安価な車を作ろうではなく、「最高速度を制限し、安全装備と操作性に全振り」した「車版の簡単なスマホ、簡単なガラケー」のようなものを日本なら作ることができると思うんですけどね。
アレとはアレなんかに湯水のように補助金を突っ込むのであれば、こういった本当に必要とされている移動手段を開発し、国民に提供してくれないものだろうかとも思います。
まとめ:私たちは「新しい移動の形」を予約している
「軽自動車でいいじゃないか」という声は、既存の枠組みの中では正しいかもしれません。しかし、mibotが目指しているのは、その枠組みを壊した先にある「持続可能な移動」です。
電動キックボードにしろ、小型モビリティにしろ、新しいものは発展途上であり、当然欠点も問題点も山積みです。だからといって批判し潰しているだけでは、新しい産業は生まれません。
人型ロボットも現在は中国の独壇場のようですし、新しいことに挑戦するやる気のある日本人起業家の方々は素直に応援したいですね。
いやでも電動キックボードの類って、あれだけの危険性が指摘される中で何であんなにスルッと参入可能になったのかは気になるところではありますが。
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