【メガソーラー終焉】買取上乗せ廃止=FIP終了の真実と、裏で進む「洋上風力コスト」国民転嫁の矛盾
「新規メガソーラー、電力買い取り価格の上乗せ廃止へ」
先日、経済産業省の方針としてこのようなニュースが飛び込んできました。「市場価格に一定額を上乗せして電力を買い取る支援制度の申請対象外とする」という内容ですが、多くの投資家や土地所有者が疑問を抱いています。
「これって、事実上のFIT/FIP制度の完全終了ってこと?」
「FIPだけ残るなんてあり得ないよね?」
結論から言えば、あなたの直感は正しいです。野立て太陽光(事業用)における「補助金ビジネス」の時代は、完全に幕を閉じようとしています。
しかし、ここで怒るべきポイントはもう一つあります。太陽光ばかりが「国民負担の元凶」として叩かれる裏で、洋上風力発電については「建設コスト上昇分を国民に負担させる」という驚きの新ルールが適用されようとしている事実をご存知でしょうか?
今回は、分かりにくいメガソーラー規制の解説と、あまり報道されない「風力発電と国民負担」の不都合な真実について深掘りします。
1. 「上乗せ廃止」=野立て太陽光のFIT/FIPは実質終了
まず、ニュースの不明瞭な部分を整理しましょう。
「市場価格に一定額を上乗せして買い取る」仕組みこそが、現在のFIP(Feed-in Premium)制度の根幹です。市場価格が安い時に、基準価格(FIP価格)との差額を「プレミアム(補助)」として交付する仕組みです。
- FIT(固定価格買取):大規模案件はすでに対象外。
- FIP(プレミアム上乗せ):今回、新規の野立てメガソーラーは対象外へ。
つまり、今後新設される野立てメガソーラーは、国の制度(賦課金)に頼らず、「相対契約(PPA)」や「完全市場連動」で、自力で電力を売って稼ぎなさいという通告です。
制度趣旨から考えても、「FITはダメだけどFIPならOK」という抜け道を残すとは考えにくく、事実上の「野立て太陽光の支援制度終了(卒業)」と捉えて間違いありません。
2. なぜ「メガソーラー」だけが目の敵にされるのか?
理由はシンプルで、「再エネ賦課金(電気代への上乗せ)」による国民負担が限界に達しているからです。
景観の問題や災害リスクなど、メガソーラーに対する世論の風当たりが強いことも背景にあります。「これ以上、太陽光のために電気代を上げさせるな」という国民感情に、政府が配慮した形です。
ここまでは、納得できる話かもしれません。しかし、問題はここからです。
3. 報道されない矛盾:洋上風力は「コスト増を国民におかわり」可能に
太陽光への支援を「国民負担軽減」を理由に切る一方で、政府は洋上風力発電に対して信じがたい制度変更を行いました。
建設コスト上昇分の「最大4割」を価格転嫁
洋上風力発電の公募において、資材価格の高騰やインフレによる建設コストの上昇分を、売電価格に転嫁(上乗せ)することを認める仕組みが導入されています。
⚠️ ここが最大の矛盾点
企業が事業計画の見通しを誤ったり、インフレでコストが上がったりした場合、その上昇分の最大4割までを「買取価格の上乗せ」で救済するというのです。
この上乗せ分の原資はどこから出るのでしょうか?
答えは、もちろん私たちの電気代(再エネ賦課金)です。
「太陽光はもう儲かるから支援しない」と言いつつ、「洋上風力は大変だから、見積もりが甘くてコストが上がっても国民が負担してあげましょう」と言っているに等しいのです。
4. 国民への説明責任は果たされているか?
この「風力優遇・太陽光冷遇」のダブルスタンダードを、政府はどう説明するのでしょうか?
- 太陽光:「賦課金が高い!」と批判される象徴として叩かれる。
- 風力:「将来の主力電源」として、コスト増の転嫁が許容される。
再エネ賦課金が家計を圧迫している現状で、「洋上風力の建設費が上がったので、あなたの電気代も上がります」という説明を、堂々と国民に行えるのでしょうか?
隙あらばメガソーラーを叩いて「やってる感」を出しつつ、裏では巨大な建設コストがかかる洋上風力の負担を、静かに国民の財布に紐づけている。この構造を知っておくべきです。
まとめ:再エネ負担金の行方を監視せよ
今回のニュースは、単なる「太陽光バブルの終了」ではありません。エネルギー政策の軸足が移る中で、「誰がコストを負担させられるのか」というルールが密かに書き換えられていることの証左です。
野立て太陽光のFIT/FIP終了は既定路線でしたが、その浮いた財源が「電気代の値下げ」に使われるのではなく、そのまま「洋上風力のコスト補填」に回るだけだとしたら……。
私たちは「メガソーラー規制」という見出しだけに踊らされず、明細書の「再エネ賦課金」が今後どう推移していくのか、その中身を厳しく監視し続ける必要があります。
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