法面に笹が生えていた。
最初からわかっていたことだ。でも「法面だから強い除草剤は使えない」という制約のなかで、グリホシネート系を選んで散布を続けてきた。完全に枯らすのが目的ではない。あくまで勢いを抑える、弱らせる、それだけのつもりだった。地上部は今も青々と茂っている。見た目の上では、笹はまだそこにいる。
先日、久しぶりにちゃんと確認してみたら、崩落の兆しが2か所あった。
よく見れば、雨水が集まる小さな溝ができている。排水溝というより、浸食の起点といったほうが正確か。放置すれば、そこを中心に崩れが広がっていくのは素人目にも明らかだった。
グリホシネートは「葉が枯れる」薬剤のはずだった。根へのダメージは少ない、と聞いていた。葉は枯れ、また新しい芽が出て、地上部はそれなりに繁茂している。表面上は何も変わっていないように見えた。だが現実はそう単純ではなかったらしい。散布を繰り返すうちに、見えないところで根が少しずつ弱っていたのかもしれない。表土を支えていたネットワークがほつれたところに雨水が集中して、ゆっくりと地面が動き始めた——そういうことだと思っている。
かといって除草をしなければ、それはそれで困る話だった。笹というのは本当に厄介で、地上部を刈っても刈っても根はどんどん広がる。隣地からも侵入してくる。完全に除去しようというつもりはなかったが、放置すれば収拾がつかなくなる前に勢いだけでも抑えなければという判断は間違っていなかったと今でも思っている。ただ、結果として崩落の引き金を引いてしまったのなら、やり方に問題があったということだ。
起きてしまったことは仕方ない。反省は後でする。
さて、どう直すか。
重機が入ればはなしは早い。小型の油圧ショベルでも借りて法面を綺麗に成形し直せば——スキル面の問題は一旦棚上げするとして——それが一番てっとり早い。しかし現実には、その場所に重機を持ち込む方法がない。道がない、というやつだ。
となれば、人力でやるしかない。
選んだのは植生土嚢だ。
ただの土嚢袋は耐候性が5年ほどで、むき出しのまま積んでも結局は劣化して土をかぶせ直す手間が生まれる。それなら最初から種入りの植生土嚢を使って、草の根で表面を固めながら安定させていくほうが理にかなっている。そしてその草が定着するまでの間、今も法面を覆っている笹の根に、引き続き頑張ってもらうことになる。弱らせようとしていた相手に、土台を守ってもらうというのも妙な話ではあるが。
近年、雨の降り方が変わった。一回の雨量が多くなり、ゲリラ豪雨という言葉が珍しくなくなった。そういう雨が来る前に、今の2か所を塞いでおかなければならない。
目標は今月中。遅くとも田植えが始まる前には終わらせたい。
笹との戦いは続くが、今はその笹に助けてもらっている。








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