太陽光発電所の保守・点検にサーモグラフィが必要な理由
太陽光パネルのホットスポットやコネクタの接触不良、パワーコンディショナ(パワコン)の異常発熱は、発電効率の低下だけでなく火災の原因にもなります。これらを早期に発見するためには、目視では不可能な「熱」を可視化するサーモグラフィカメラが欠かせません。
今回は、コストパフォーマンスに優れたHIKMICRO(ハイクマイクロ)の3機種に加え、世界シェアNo.1のFLIR(フリアー)製品を比較し、現場での使い勝手を検証しました。
【全5種】サーモカメラ性能・価格比較表
HIKMICROの3機種と、太陽光点検でよく使われるFLIRの代表的2機種を比較しました。
| 項目 | MiniE | Mini2Plus V2 | Eco-V | FLIR One Edge Pro | FLIR C5 |
| メーカー | HIKMICRO | HIKMICRO | HIKMICRO | FLIR | FLIR |
| 赤外線解像度 | 96×96 | 256×192 | 96×96 | 160×120 | 160×120 |
| 画質補正技術 | SuperIR | SuperIR | Fusion | MSX (輪郭強調) | MSX (輪郭強調) |
| フォーカス | 固定 | 手動 (調整可) | 固定 | 固定 | 固定 |
| 測定温度範囲 | 〜400℃ | 〜400℃ | 〜550℃ | 〜400℃ | 〜400℃ |
| 価格帯 (目安) | 約1.5万円 | 約3.5万円 | 約4.5万円 | 約9万円 | 約13万円 |
| 強み | 圧倒的安さ | 解像度/コスパ | タフさ/実地向け | 無線接続/ブランド | 堅牢性/クラウド |
業界標準「FLIR」との決定的な差
太陽光点検の現場で「なぜFLIRが有名なのか」、そして「HIKMICROと何が違うのか」を3つのポイントで解説します。
1. 「MSX機能」による視認性(FLIRの強み)
FLIRの最大の特徴は、可視光カメラで捉えた物の「輪郭」を熱画像に合成するMSX技術です。解像度(数値)がHIKMICROより低くても、パネルの枠やコネクタの形状が非常にハッキリ見えるため、初心者でも「どこが熱いか」を直感的に判断できます。
2. 「カタログ解像度」と「ピント」(HIKMICROの強み)
数値上の解像度はHIKMICROの圧勝です。特にMini2Plus V2の256×192という解像度は、FLIRの上位機種(20万円クラス)に匹敵します。また、FLIRの低価格帯はフォーカス固定が多い中、Mini2Plusは手動フォーカスが可能なため、小さなコネクタの熱をよりシャープに捉えることができます。
3. コストパフォーマンス
HIKMICROは同等以上の解像度を、FLIRの1/2〜1/3程度の価格で提供しています。低圧太陽光(50kW未満)の自家点検であれば、HIKMICROのコストメリットは計り知れません。
太陽光点検におけるおすすめ順位
現場での実用性と投資対効果を考慮したランキングです。
第1位:HIKMICRO Mini2Plus V2
【理由】圧倒的な解像度とピント調整機能
太陽光パネルの点検では、数メートル離れた場所から小さなセルの異常(ホットスポット)を見極める必要があります。Mini2Plus V2は解像度が非常に高く、さらに手動フォーカスを備えているため、細かなコネクタの過熱状態もピンポイントで捉えられます。プロに近い点検結果を求めるなら、これが最も確実です。
第2位:HIKMICRO Eco-V
【理由】タフな現場環境と「Fusion」機能
スマホを接続する手間がなく、起動してすぐに使えるのが最大のメリットです。また、可視光カメラを内蔵しており、熱画像と実画像を重ね合わせる「Fusionモード」が使えます。「どのパネルの、どの位置が熱いのか」が報告書作成時に一目で判別できるため、実務効率が非常に高いです。
第3位:FLIR C5
【理由】ブランドの信頼性と報告書作成の容易さ
予算が許すなら、業界標準のこの一台です。耐衝撃性に優れ、撮影した画像を即座にクラウド(FLIR Ignite)へアップロードできるため、複数人でのデータ共有や報告書作成が非常にスムーズです。
第4位:HIKMICRO MiniE
【理由】最低限の機能で最安コスト
予算を抑えたい場合の選択肢です。解像度は低いですが、HIKMICROの画質強化技術(SuperIR)により、大まかな熱分布の確認は可能です。まずは自分で異常の有無だけをスクリーニングしたいという入門者向けです。
安価なモデル(MiniEなど)で十分に検査するためのコツ
おすすめ順位では下位となったMiniEのような低解像度モデルでも、工夫次第で十分な点検が可能です。以下の3点を意識してください。
- 対象物に可能な限り近づく解像度が低い分、遠くからでは熱源がぼやけてしまいます。パネルなら1〜2メートル以内、コネクタなら数十センチまで近づいて撮影することで、小さい熱源の輪郭をはっきりさせることができます。
- カラーパレットと「レベル・スパン」を調整する自動設定のままだと背景の熱に引っ張られることがあります。アプリ上で温度の表示範囲(レベル・スパン)を手動調整し、異常箇所のコントラストを強調することで、低解像度でもホットスポットを見落としにくくなります。
- 比較対象を持つ(良品比較)「このコネクタが熱いのか?」と迷ったら、隣の正常と思われるコネクタと比較してください。絶対的な温度精度よりも「周囲との差(相対差)」を重視することで、低コスト機でも故障の予兆を掴めます。
まとめ:あなたの発電所に最適な1台は?
- 「低予算で最高の画質(解像度)を手に入れたい」なら HIKMICRO Mini2Plus V2
- 「現場での使い勝手とタフさを重視したい」なら HIKMICRO Eco-V
- 「業界標準の安心感と報告書の作りやすさを買いたい」なら FLIR C5
- 「とにかく安く、まずは自分で試したい」なら HIKMICRO MiniE
太陽光パネルは一度設置すると長く付き合うものです。ご自身の点検スタイルに合わせて最適なモデルを選び、安定した売電収入を守りましょう。
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