【緊急考察】前澤友作氏「みんなで発電所」は日本のエネルギー革命か、それとも壮大な幻想か?

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【緊急考察】前澤友作氏「みんなで発電所」は日本のエネルギー革命か、それとも壮大な幻想か?

「みんなで発電所を作りませんか?」 前澤友作氏が放ったこの言葉は、単なるビジネスの勧誘ではありません。それは、戦後100年近く続いてきた日本の「中央集権型エネルギー体制」に対する、実質的な宣戦布告です。

カブアンドが掲げるVPP(バーチャルパワープラント:仮想発電所)構想。100万世帯をネットワークで繋ぎ、原発5基分の電力を生み出すという数字は、確かに熱狂を呼びます。しかし、その背後には「既存電力会社」という巨大な壁、そして複雑怪奇な「電力市場のルール」という罠が待ち受けています。

正直に言いましょう。私はこのプロジェクトに対し、極めて懐疑的です。しかし、もしこれが「数の暴力」によって実現してしまったら……それは日本の歴史が動く瞬間になる。そんな、震えるような期待感も同時に抱いています。

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1. 巨大な「壁」:なぜ日本のエネルギーは変われなかったのか

私たちはまず、日本の電力業界がいかに「特殊な聖域」であるかを理解しなければなりません。

1951年に現在の9電力体制(東電や関電など)が確立されて以来、日本のエネルギーは地域独占によって守られてきました。福島第一原発事故という未曾有の悲劇を経て、ようやく「電力自由化」の幕が上がりましたが、それでも実態は変わっていません。

なぜか? それは、既存の電力会社が「送電網」という、電気の通り道を独占しているからです。新電力がどれほど安い電気を作っても、この「通り道」を通るたびに多額の「託送料金(送電網利用料)」を徴収されます。これは、他社のトラックが道路を通るたびに、ライバル会社に通行料を払わなければならないようなものです。

既存電力会社が、自らの不利益になるような流れに自ら乗ることは万に一つもありません。福島のような「負い目」や、外圧による「不可抗力」がない限り、彼らはその椅子を明け渡さない。そんな鉄の意志を持つ巨大組織に対し、前澤氏は「数」という唯一の武器で挑もうとしています。

2. VPPの武器:「メリットオーダー」の破壊

カブアンドが狙っているのは、電力市場における「メリットオーダー」の書き換えです。

メリットオーダーとは、発電コストが安い順に発電所を稼働させるという市場の基本原則です。一般的に、燃料費がかからない太陽光や風力などの再生可能エネルギーが最も優先され、次に石炭、ガス……と続きます。

カブアンドのVPP(仮想発電所)が100万世帯の蓄電池やEVを統合すれば、市場には「限界費用(追加で1kWh作るためのコスト)がほぼゼロ」の電気が大量に供給されることになります。これにより、高い燃料を燃やして動かしている既存の火力発電所を市場から「追い出す」ことが可能になります。

しかし、ここには専門的な罠があります。それが「インバランス料金」です。

電気は「作る量」と「使う量」を常に一致させなければなりません(同時同量)。もし100万世帯のネットワークが、予測に反して電気を出しすぎたり、足りなかったりした場合、その差分を埋めるための莫大なペナルティ料金(インバランス料金)を支払わなければなりません。既存電力会社は、この「予測の難しさ」を盾に、VPP事業者に厳しい管理を突きつけてくるでしょう。

3. 「数の暴力」という名の黒船:ソフトバンクの歴史に学ぶ

前澤氏がやろうとしていることは、かつて孫正義氏がADSL事業でNTTの牙城を崩した時と酷似しています。

当時、NTTは「メタル回線を他社に貸し出すのは技術的に困難だ」と難癖をつけ、ブロードバンドの普及を阻んでいました。そこで孫氏は、街頭でモデムを無料で配りまくり、圧倒的な「ユーザー数」を背景に総務省を動かしました。「これだけの国民が求めているのに、NTTが邪魔をしている」という構図を作ったのです。

カブアンドも、自らを「取次事業者(代理店)」という立ち位置に置くことで、まずは既存の仕組みの中に100万人の「株主候補」を送り込もうとしています。これは「トロイの木馬」です。

一旦、100万人のネットワークができてしまえば、それは政治的な「票」になり、無視できない「経済圏」になります。既存電力が「託送料金」を釣り上げようとすれば、「100万人のユーザーが怒っている」という民意が、経産省の審議会を動かす。この「数の暴力によるルール変更」こそが、前澤氏の真の狙いではないでしょうか。

4. 3つの未来予測:電力が「無料」になるか「格差」を生むか

もしカブアンドが100万世帯の組織化に成功した時、日本にはどんな未来が訪れるのか。3つのシナリオを深掘りします。

【シナリオA】既存電力の「ITプラットフォーム」化(共生)

既存の電力会社が白旗を上げ、自らを「送電網の管理会社」へと再定義する未来です。彼らは電気を売るのではなく、カブアンドのようなVPP事業者が電気をやり取りする際の「プラットフォーム利用料」で稼ぐようになります。 この場合、電気代は「グリッド接続サブスク(定額制)」へと移行します。スマホの基本料金を払えば、家で使う電気は使い放題(ただし最大出力制限あり)。これが最も平和な解決策です。

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【シナリオB】インフラの「デス・スパイラル」と国有化(混沌)

最も残酷なシナリオです。富裕層や一軒家を持つ層が次々とVPPに加入し、電力会社から電気を買わなくなります。収益が悪化した電力会社は、残された「設備を持てない層(賃貸や低所得層)」の電気代を値上げして補填しようとします。 これがさらなる離脱を呼び、最終的に既存電力は経営破綻。送電網を維持できなくなった国が、莫大な税金を投入して国有化する……。「エネルギーの格差社会」が到来するリスクです。

【シナリオC】完全分散型「マイクログリッド」社会(自治)

「国」や「東電」という巨大な存在に頼らず、地域やコミュニティ単位で電力を完結させる未来です。災害時には自律的に電気が復旧し、EVが街中を走り回って電力を届ける。前澤氏が「みんながオーナー」と呼ぶ、理想的な自治社会です。

5. 懐疑的な私が、それでも「期待」してしまう理由

正直に言えば、前澤氏の過去の行動や、今回の「株引換券」という手法には危うさを感じます。VPPの運用には高度なリアルタイム制御が必要であり、100万世帯の足並みを揃えるのは技術的にも至難の業です。

しかし、それでも私がこの構想に注目するのは、「今のままの日本のエネルギー業界には、もう絶望しかない」からです。

燃料費が高騰するたびに電気代が上がり、古い火力発電所を維持するために私たちは「容量市場(使ってもいない発電所の維持費)」という名の隠れた税金を払い続けています。既存の電力会社に任せている限り、この構造は絶対に変わりません。

前澤氏が「マーケティングの天才」であることは間違いありません。その彼が、エネルギーという最も硬直した分野に、100万人という「群衆」を連れて突っ込んでいく。もし、その衝撃で既得権益の壁にヒビが入るのだとしたら……。

それは、私たちが「受動的な消費者」から「エネルギーの当事者」へと変わる、唯一のチャンスなのかもしれません。

結論:私たちは「革命」のオーナーになれるか

カブアンドの「みんなで発電所」は、まだ青写真に過ぎません。多くの技術的・法的な課題が山積みです。

しかし、かつて「携帯電話は高嶺の花」だった時代を壊したのは、技術者ではなく、圧倒的な数で市場をこじ開けた革命児たちでした。

もしあなたが、今の高い電気代や、不透明なエネルギー政策に「NO」を突きつけたいと思うなら、この怪しげで壮大な「前澤劇場」に、一票(一世帯)を投じてみる価値はあるかもしれません。

もちろん、これは「革命」です。成功の保証はありません。しかし、100万人が結集したとき、東京電力も、経産省も、もはや「今まで通り」ではいられなくなる。その景色を、私は見てみたいと思ってしまうのです。

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