メガソーラーだけ悪者扱い? 本当に危険なのは、あなたの町にひっそり残る「放置空き家」ではないのか
最近、メガソーラーに対する批判をよく目にする。
「パネルが劣化したら危ない」「管理されずに放置されるかもしれない」――そんな“かもしれない”を根拠に、既に廃棄費用の積立金が強制的な徴収が開始されている。
もちろん、再生可能エネルギー事業には一定の管理ルールが必要だ。しかし、ここで一度立ち止まって考えてみたい。
本当に放置されて危険なのは、メガソーラーだけなのだろうか?
私たちの生活のすぐ近くに、もっと身近で、もっと現実的で、もっと危険なものがあるのではないか。
それが 「放置空き家」 だ。
■ 放置空き家の方が、よほど“今そこにある危険”
空き家の問題は、すでに社会問題と言えるレベルに達している。
総務省の調査では、全国の空き家数は 約899万戸。空き家率は 13.8% と過去最高を更新している。
そのうち、実際に誰も管理していない「放置空き家」は 385万戸以上。
しかも、この数は年々増え続けている。
放置される空き家が増えれば何が起きるのか。
- 老朽化した屋根や外壁が落下する
- 倒壊の危険が高まる
- ゴミがたまり、害虫や悪臭が発生する
- 不法侵入、放火など犯罪の温床になる
- 火事が起きれば、密集地では一気に延焼する
実際、ニュースで「放置空き家から出火し、近隣住宅へ延焼」という話は珍しくない。
あなたの家の隣に空き家があったら――他人事では済まされないだろう。
■ それでも空き家には“撤去費用の積立”が義務化されていない現実
不思議なのはここだ。
メガソーラー事業者には「将来放置されるかもしれない」という理由で、
廃棄費用の積立が義務化されている。
しかし、空き家は違う。
現実に存在し、問題を引き起こし、火災や倒壊の事故も発生しているにもかかわらず、
撤去費用の積立金制度は義務化されていない。
お金を生み出し、「放置されるとは思えない」メガソーラーには強制徴収。
一方で、お金を生みださず、「実際に放置される空き家が増え続けている」現状に関しては撤去を強制する対策は全く取られていない。
これでは筋が通らない。
■ 空き家こそ「建物撤去積立金」を義務化すべきではないか
空き家問題がなぜ解消しないのか。
理由は単純で、「解体費用が高いから」だ。
木造住宅でも100〜200万円、鉄骨・RC住宅なら300〜1000万円かかる場合もある。
突然「家を壊してください」と言われても、すぐに用意できる金額ではない。
だから所有者は放置してしまう。
その結果、地域全体の安全性が下がる。
地価も下がる。
火災リスクも高まる。
ならば、メガソーラーと同じように 建物撤去積立金を義務化 すればいい。
- 所有者が負担を分散して積み立てる
- 一定額がたまったら老朽化時に解体費用に充てられる
- 放置を防ぎ、地域への迷惑も減らせる
「現実に危険を生んでいるもの」へこそ、先に制度を適用すべきではないだろうか。
あるいは、新築時に解体撤去費用を上乗せして販売すれば良い。
住宅解体撤去費用をまとめて運用する機関ができれば、新たな利権が生まれるだろう。
■ 本当の“危険”を直視しないまま、メガソーラーだけ叩く風潮
メガソーラーに対する懸念は理解できる。
だが、その一方で、目の前で確実に問題を起こしている空き家が放置されているのも事実だ。
想像で語られる「メガソーラーのかもしれないリスク」。
対して、すでに被害が出ている「放置空き家の現実」。
どちらに、より公平な制度が必要なのかは明らかだ。
■ 結論:空き家問題を“想像ではなく現実”として扱うべき時期に来ている
空き家は年々増え続け、放置されればされるほど危険性は増す。
地域の安全、景観、資産価値を守るためにも――
空き家こそ、撤去積立金を制度として導入・義務化すべきだ。
メガソーラーより先に対応すべき課題が、すぐ足元にある。
その現実を直視し、早急に仕組みを整える必要がある。
参考資料・出典一覧
- 総務省「住宅・土地統計調査(2023年)」空き家数・空き家率
- 国土交通省:空き家放置による倒壊・衛生・治安リスク
- 全国空き家対策コンソーシアム:空き家が及ぼす経済損失と地価下落データ
- 各自治体の空き家火災・倒壊事例(報道データ)
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