【緊急速報】片山大臣「政府として具体的に検討しておりません」EV時代の道路財源を巡る議論の最前線！

■ はじめに：「検討していない」発言の裏側

「走行距離税（走行距離課税）」が議論されるたび、国民の間で「増税だ」「プライバシー侵害だ」といった大きな懸念が巻き起こります。本日、片山大臣が「走行距離税は検討していない」と発言したというニュースは、多くの自動車ユーザーにとって安心材料となったかもしれません。

しかし、この発言は、将来的な導入の可能性を完全に否定するものではありません。なぜなら、走行距離税の議論は、特定の政治家や政党の思惑ではなく、「技術の進化」と「税制の公平性」という不可逆的な時代の変化から生まれているからです。

本記事では、この「検討していない」発言の真意と、EV（電気自動車）時代における走行距離税の歴史的経緯を、改めて解説します。

走行距離税のアイデアは、主に以下の二つの要因によって、2000年代以降に浮上しました。

道路整備の主要財源は、長らくガソリン税などの燃料課税でした。しかし、燃費の良い車（ハイブリッド車など）の普及が進むにつれ、燃料の消費量が減り、税収が減少傾向となりました。

起源（米国）： 1990年代後半、米国で「道路利用料（Road User Charge / RUC）」として、燃料税に代わる公平な課金方法が専門家によって提唱されました。（出典：米国運輸省、TRB）
初期の議論（日本）： 日本でも2000年代後半以降、国土交通省の専門家会議などで、燃料消費に依存しない課税方法の必要性が議論され始めました。（出典：国土交通省の各種委員会資料）

現在、最も議論を加速させているのが、電気自動車（EV）の本格的な普及です。

根本問題： EVはガソリンを消費しないため、ガソリン税を全く負担しません。しかし、EVもガソリン車と同様に道路を走行し、道路の維持管理コストを発生させます。
税制調査会の見解： この「受益者負担の原則」が崩れる現状を是正するため、燃料とは無関係の「走行距離」を課税ベースとするという議論が、政府の税制調査会を中心に進んでいます。（出典：政府税制調査会議事録・答申）

今回、片山大臣が「政府として具体的に検討しておりません」と発言した背景には、主に以下の二つの理由が考えられます。

政府税制調査会や与党（自民党）の税制調査会では、走行距離税は、「将来的な検討課題」として位置づけられています。

現行の焦点: 議論の焦点は、目先の税制改正大綱ではなく、2030年代以降を見据えた「次世代の自動車関連税制のあり方」です。
発言の真意: 大臣の発言は、「直近の税制改正で導入する具体的な計画はない」という、国民の不安を鎮めるための「現状報告」としての意味合いが強い可能性があります。