はじめに:生成AIの出力が正しそうに見えるときほど注意が必要です
これまでの記事では、生成AIに対して「目的や条件、文脈を丁寧に伝えること」や、「5W1Hを意識したプロンプト設計」が、出力の精度を高めるうえで大切であることをお伝えしてきました。
実際、そのような工夫をすることで、生成される文章の質は目に見えて向上します。
ただし、それでもなお「そのまま使える」とは限らないのが、生成AIの難しさでもあります。
今回は、「一見正しそうに見える出力」を鵜呑みにせず、人間の視点でどのように確認すればよいのか──いわば「チェック力」について考えてみたいと思います。
「もっともらしい」けれど間違っている、ということが起こります
生成AIを使っていると、「説得力があり、よくまとまっている」ように見える出力に出会うことがあります。
しかし、そうした文章の中にも、実は根拠が不明確な情報や事実と異なる内容が含まれていることがあります。
たとえば、次のようなケースです。
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実在しない統計データや調査報告を引用している
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前半と後半で主張に一貫性がない
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見出しは「入門編」なのに、内容が専門的すぎて読者の前提知識に合っていない
こうした「もっともらしい誤り」は、既にブログ記事にしておりますように、**AIが事実と異なる情報を生成してしまう(ハルシネーション)**ことで生じます。
そして厄介なのは、私たち人間が「よくできた文章」に対して、無意識のうちに信頼してしまいやすいという点です。
そのため、AIの出力を扱う際には、「正しそうに見えるものほど慎重に検証する」という視点が重要になります。
出力内容を確認するときに意識したい3つの視点
では、生成AIの出力をどのように確認すればよいのでしょうか。
ここでは、私自身が日頃から意識している「チェックの観点」を3つご紹介します。
① 情報の正確性(事実確認)
まず大切なのは、文章の中に含まれている情報が事実として正しいかどうかです。
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実際にその統計や調査は存在するか
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数字や日付に誤りはないか
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引用されている書籍や人物は正しく記述されているか
→ 見た目にはよくできていても、出典そのものが存在しないケースもあるため、必ず外部の情報と照らし合わせることが必要です。

② 論理の一貫性と構造
次に確認したいのは、文章全体の筋道が通っているかどうかです。
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主張と根拠の関係に無理はないか
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前提条件から自然に結論へと導かれているか
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同じ段落内で矛盾する意見が混ざっていないか
→ 書かれている内容を自分で一度、要約したり図解してみると、矛盾や飛躍に気づきやすくなります。
③ 文脈や目的との整合性
そして最後に、「そもそもこの出力は、今の目的や文脈に合っているか」という観点も欠かせません。
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想定している読者の知識レベルに適しているか
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トーンやスタイルは場面に合っているか
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書いてほしい内容や方向性から逸れていないか
→ 文章として整っていても、「それは今、求めていない」と感じるケースも意外と多くあります。
チェック力を補う工夫:AIの出力をAIで再検証する
もちろん、すべての確認作業を人間だけで行うのは大変です。
そのため私は、生成AI自身に“自己検証”させるプロンプトも活用しています。
たとえば、以下のような指示を与えて再チェックを行います。
「この文章の中に事実誤認や論理的な問題がないか、確認してください」
「この出力の中でもっとも怪しい部分を1つ挙げて、理由を説明してください」
「この内容に反対する立場からコメントするとしたら、どんなことが言えますか?」
また、生成AIの出力をそのまま信じるのではなく、検索エンジンや自分の知識と照らし合わせる習慣を持つことも大切です。
おわりに:AIを「素材」として活かす姿勢が大切です
生成AIは、私たちの作業を補助してくれる心強いツールです。
ただし、その出力を「完成された答え」として扱うのではなく、人間が主体となって吟味し、活かしていく素材として考えることが重要です。
「このままで本当によいのか?」と一度立ち止まって確認する。
それこそが、生成AIとよりよい関係を築いていくための第一歩ではないでしょうか。
(これは蛇足ですが、自説に説得力を持たせるために「ワザと生成AIに誤った解答をさせる例」も最近見られるようで、なかなか困った話と言えましょう。)
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