これまでの記事では、生成AIの出力をより正確で実用的にするためのプロンプト設計についてご紹介してきました。
今回は少し視点を変えて、「AIの知識の限界」に目を向けてみたいと思います。
AIがとても賢く見えるのは、膨大な知識をもとに、私たちの問いかけに対してそれらしい答えを返してくれるからです。
しかし、実はその知識には“終わり”があります。これを「カットオフ」と呼びます。
■ カットオフとは何か?
カットオフとは、生成AIが学習に使った情報の“最終更新日”のことを指します。
たとえば、あるAIモデルが「2023年4月時点までの情報」で学習されている場合、それ以降に起きた出来事や新しい技術、法改正などについては、一切知らないのです。
これを知らずに使っていると、思わぬ形で“時代遅れ”の情報を信じてしまう可能性があります。
■ 「ウソじゃないウソ」が生まれる仕組み
このカットオフの存在が厄介なのは、AI自身はあたかも“最新情報のように”語ってくることです。
たとえば、2023年4月時点では「iPhone 14が最新モデル」だったとして、AIに「iPhoneの最新モデルは?」と聞くと、「iPhone 14です」と答えます。
もちろん、その情報自体は“当時”としては正しいのですが、今(2025年)では、当然ながら正しくありません。
このように、「当時の正解」が「今の誤解」となってしまう──これが、カットオフに起因する「ウソじゃないウソ」の正体です。
■ 技術・制度・社会動向に要注意
カットオフによる情報のズレが起こりやすいのは、特に以下のような分野です:
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テクノロジーの進化:新製品のリリースやサービス終了など
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法律・制度の変更:税制改正、法律の施行、ガイドラインの改定
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社会情勢やトレンド:政治的出来事、流行語、最新の調査データ
これらは数か月〜年単位で大きく変わることがあるため、「今」に関わる内容ほど、鵜呑みにしない慎重さが必要です。
■ 対策:AIの限界を知って付き合う
生成AIの回答を扱ううえで、大切なのは「カットオフがある」という事実を前提にすることです。
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回答がいつ時点の情報を元にしているかを意識する
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最新の出来事については、自分で公式情報やニュースで確認する
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気になる点は「2025年現在どうなっているか」と自分で再検索する
こうした補完的なチェックを怠らなければ、「ウソじゃないウソ」に振り回されずに済みます。
■ まとめ:AIの出力は“今”の情報とは限らない
生成AIの回答は、「過去の知識に基づいた仮想的な答え」です。
それを“今”にそのまま適用できるかどうかは、人間側の判断に委ねられています。
だからこそ、AIの出力はあくまで出発点。
「AIはこう答えた。では、それが今でも正しいのか?」という視点を忘れずに、情報を扱っていく必要があります。
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