「JPEA謹製ガイドライン」から見る、ソーラーシェアリングの勘所。

(カテゴリ: 事業, 太陽光発電)

ソーラーシェアリングが、「様々な観点」から注目されてきており、その導入量も増加のしてきていることは、皆さんご承知のことかと思います。
 
当方も、新規案件が困難な中、名ばかり農家の相続(予定)人として、真剣に検討しており、今なお、継続検討中であります。
 
すでに複数基、野立ての太陽光発電所は所有してはおりますが、「ソーラーシェアリング」の要点と言いますか、勘所と言いますか、「つまり普通の何が違うの?」という点について、いまいちピンときておりません。
 
こういうときに参考になるのが、JPEA公式資料。
先日のブログ『JPEA謹製 太陽光発電システム保守点検ガイドライン、全員必読。』では、「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」について、ご紹介させていただきました。
 
ソーラーシェアリング関係の資料がないか探してみたところ、ありました。
「営農型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン 2021年版」、こちらです。
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全60ページ、例によって閲覧無料。
 
5ページの記載にありますように、
 
・構造関連:基本事項の概要と営農型太陽光発電システム特有の内容について記載する。
・電気関連:基本事項については省略し、営農型太陽光発電システム特有の内容のみを記載する。
 
営農型太陽光システム、すなわちソーラーシェアリング特有の内容が記載されていますので、これを読むとまさに「勘所」がわかるようになっています。
 
 
案外盲点になるところは、次の記述で、
 
営農型太陽光発電システムの火災リスクは、地上設置型太陽光発電システムと同様と考えられる。他方、感電リスクについては、電気設備の下に人が存在することから、下記を想定した電気設計方針とした。
・電気の専門家ではない農業従事者は一定の時間、電気設備の下で作業を行うため感電リスクが存在するが、設計者、施工者、保守点検事業者から説明、教育や講習を受けるなどにより感電リスクを認識しているものとして、農業従事者は「取扱者」とする。
(後略)
 
この、『感電リスクを認識しているものとして、農業従事者は「取扱者」とする』は、非常に重要な認識であります。
 
 
他にも、重要な諸点、
 
・アレイ面および架台(梁)の高さは、効率的な農作業の環境を確保するため、農業機械の高さや作業者が立って作業を行える高さ(最低地上高が概ね 2 m 以上)を考慮して設定する。
・使用する肥料や薬剤の成分を確認し、架台、基礎の主要な部材は、肥料や薬剤により著しい腐食を生じない材料を用いる。また、肥料や薬剤によって架台、基礎の主要な部材に著しい腐食を生じることが予想される場合、使用する肥料や薬剤を変更する。
・営農により柱や基礎が傷つけられると、めっきや塗装などの表面処理の防食効果が得られなくなる可能性があるため、特に柱や基礎の直近は営農の作業性を考慮して設計する。
 
これら、言われれば「なるほど」となりますが、案外そこまで気が回っていないこともありそうな話です。
 
 
また次の記載、
 
・農業従事者および一般公衆の感電防止対策を配慮した電気設計とする。
・出力が 50 kW 未満の場合、直流の対地電圧を 450 V 以下とする。
・ 出力が 50 kW 以上の場合、50 KW 未満のパワーコンディショナで分割した電気設計とするとともに直流の対地電圧を 450 V 以下とする。分割ができない場合には、地絡検知・遮断機能、警報の機能、接地の確保を定期的に確認できる設計および体制とする。
 
・農業従事者がケーブルなどに接触する恐れがないように配線する。
・ケーブルや接地線を埋設する場合には、農作業による配線切断の恐れがないように配線する。
・埋設した接地棒の位置がわかるようにする
 
は、安全を確保するために留意すべき事項として、特に記載されている内容になります。
 
 
以上を見ていきますと、ソーラーシェアリングは「何かと気を遣うべき点」が多い事を、充分に理解して実施する必要がありますね。
 
少し人を選ぶ側面もありますが、正しく運用できれば非常に有意義な方法と、当方は考えております。

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